国を超えたうねり

感染拡大に伴って人々が自宅に篭るようになると、ベネチアの運河の水が澄み、都市には鳥の囀りが響き、空は青さを取り戻しました。けれども、自然の回復力に微かな希望を感じたのも束の間、地球温暖化を食い止めるには、このレベルまで生活を変えてもなお追いつかないと知りました。私たちはもう、手遅れになる瀬戸際にいるのです。

どれも、分かっていたこと。分かっていたけど変えようとしなかったこと。変えられないと諦めていたことです。

しかしながら、すでに変化は始まっています。2017年から2018年にかけての#MeTooでは性暴力や性差別、そしてジェンダー不平等が、2019年の#Friday for Futureでは気候危機対策の遅れと世代間のギャップが、そして今年2020年の#Black Lives Matter では構造的な人種差別と格差の問題が、多くの若い世代の参加によって広く訴えられ、国を超えたうねりとなっています。

photo by gettyimages
-AD-

コロナ後の世界は、気候危機対策をはじめ、ジェンダー格差や経済格差の是正、人種をはじめとしたあらゆる属性に対する構造的差別の根絶など、積年の課題への取り組みが進み、いよいよ社会の制度や人々の行動に不可逆的な変化が起きるフェーズに入るでしょう。経済格差や世代間・人種間の分断を放置していては、人類は生き延びられないことがわかったからです。

変化は多くの喪失と引き換えに、それまで不可能だと思われていたことを可能にし、劇的な価値の転換をもたらします。自分の力ではどうにもならないと思っていた大きな仕組みや常識が崩れ、新しい前例をゼロから作れる千載一遇のチャンスとも言えるのです。