これまでも人種差別を描いた映画は多くあったが、本作が稀有なのは、反ヘイト団体が人種差別者の転向を手助けしているという事実。そして、転向者がたどる過酷な更生への道を描いている点だ。実際に、ブライオンに手を差し伸べたのは反ヘイト団体を運営するダリル・L・ジェンキンス(マイク・コルター)という黒人男性で、彼がブライオンのタトゥー除去手術代を払ってくれる投資家を紹介したのである。そして、ブライオンとダリルは今では親友同士だという。

『SKIN/スキン』より

ダリルがこの物語で一番のヒーローかもしれない。だから次は、彼の視点で人種差別を描いた映画を制作するつもりです」と明かすナティーヴ監督。

現在のブライオンは人種差別について啓蒙活動を行っているが、ヘイトグループからの脅迫が止まず、被害妄想や過去の罪悪感に苦しめられているそうだ。

ガイ・ナティーヴ監督は最後にこう締めくくった。

「あれほどの暴力と憎悪に満ちた人生を送った後では、ブライオンの心に平穏は決して訪れないでしょう。でも、彼もダリルも、人種差別に打ち勝つ方法を私達に教えてくれた。世の中から差別が消えてなくなることはない。けれど、私達が互いに心から対話すれば、差別から脱却できると信じています

日本にも人種差別が日常的にある。「在日」「ハーフ」「外人」――こういった排除的な言葉を投げかけられて傷つく人が毎日大勢いる。「日本人である」という帰属意識にしかプライドをもてない人間を煽動する政治家や著名人は後を立たない。なぜなら、それが彼らの既得権益を守るからだ。そんな憎悪の円環を断ち切るのは、本作が教えてくれるように「対話」と「赦し」しかないのかもしれない。

SKIN/スキン』は6 ⽉26 ⽇(⾦)より新宿シネマカリテ、 ホワイト シネクイント、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開
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