孤児を白人至上主義者に育てるヘイトグループ

映画内では、親に捨てられた少年のブライオン(ジェイミー・ベル)が白人至上主義者グループを主宰するクレーガー(ビル・キャンプ)とシャリーン(ヴェラ・ファーミガ)に拾われ、実の子のように育てられる。そして筋金入りの差別主義者に成長したブライオンは、タトゥーショップを経営し、その収益のほとんどをクレーガーとシャリーンに渡す。

『SKIN/スキン』より

ブライオンのモデルとなった人物や様々な反ヘイト団体を徹底的に取材したナティーヴ監督は、これは映画の中だけの話ではなく、白人至上主義者の若者のリアリティなのだという。 

ヘイトグループは行き場のない子どもたちをスカウトして愛情と帰属意識を与え、人種差別者に育てます。そして子どもたちが大人になったら、今度は彼らを経済的に搾取する。カルトと同じで、ヘイトグループのリーダーの一番の目的はカネと権力。弱い者を洗脳して彼らの心を支配し操り、金づるにするんです

「自分自身を見ない」ためにタトゥーで覆う

それにしても、タトゥーアーティストとはいえ、体だけではなく顔にまで刻んだブライオンのタトゥーは凄まじい。なぜ白人至上主義者にはタトゥーに覆われた人が多いのだろうか。

『SKIN/スキン』より

「彼らは自分自身を嫌悪しているんです。差別したり暴力を振るったりする自分自身に向き合えないから、タトゥーで自分自身を覆い隠し、自分を見えないようにする。だから彼らの多くは、40歳前にはアルコールやドラッグ中毒に陥り破滅してしまうんです」

映画の冒頭は、酒を浴びるように飲み、愛のないセックスに耽る自暴自棄で痛々しいブライオンの姿を映し出す。しかしそんな自己破壊的な男が、シングルマザーとして3人の子どもたちを育てる女性ジュリー(ダニエル・マクドナルド)と知り合い、自分に向き合っていく。