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中国政府が進める香港への「恐怖支配」…狡猾なやり口が見えてきた

明らかになった「国家安全保護法」の中身
ふるまい よしこ プロフィール

だが、香港基本法23条の文言がある限り、公安条例草案はきっとまた頭をもたげてくるだろうとの警戒は続いており、また実際に今年9月6日に行われる予定の立法会議員選挙で、もし親中派が過半数の議席を獲得すれば、間違いなく起草されると言われていた。

しかし、まさか中央政府直属の全人代が立法に動くとは。突然の議案化もさることながら、香港の人たちが最もショックが大きかったのは基本法の「香港特別行政区が自ら制定」との規定にもかかわらず、中央政府が立法会をすっ飛ばして、直接制定する動きに出たことだった。

香港スクール外し、香港政府外し、そして香港の親中派外し。中国政府の態度はもうそのどれにも期待していない、という姿勢を見せたに等しい。

そして、それは中国政府がかつて、香港市民と世界に向けて約束した「一国二制度」「港人治港」「高度な自治」を踏みにじったのである。これに対して、香港返還のもう一方の当事国であるイギリスもまた駐中国大使館を通じて、「新国家安全法は『香港基本法』に正当な法的根拠が存在せず、また『中英共同宣言』に背くものである」とする声明を発表している(声明全文の日本語訳は筆者サイトを参考のこと)。

香港国安法への反対運動(5月24日)〔PHOTO〕Gettyimages
 

中国の懸念

しかし、中国は本当に自ら約束した「一国二制度」「港人治港」「高度な自治」を放棄して、香港を国内の他の都市と同じようにしてしまいたいのか? そうなれば、中国国内において唯一、外資を調達できる株式市場、そして金融市場としての世界的な信頼性を間違いなく失われていく

中国はここ数年、資本の掌握、回収のために、海外特に米国で上場する国内企業に対して、同時に国内市場での上場を促している。また昨今の中米関係の悪化などによって、米国株式市場で行われるようになった中国企業への厳しい措置を目の当たりにして不安になった企業が自ら国内上場を考え始め、外資を調達できる香港を選択する傾向にある。

実際に「香港デモによって政府が待ったをかけた」と言われたアリババも昨年、香港に再上場したし、ここ10日間のうちに大手IT企業「網易」(ネットイーズ)やEC大手「京東」(JDドットコム)の上場が大きな注目を浴びた。年内は国内企業の香港上場ラッシュが続く。