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中国政府が進める香港への「恐怖支配」…狡猾なやり口が見えてきた

明らかになった「国家安全保護法」の中身
ふるまい よしこ プロフィール

明らかに新華社報道はこうした「新たな名称」を人々の目にさらけ出したものの、人々が最も注目する「一国二制度」「港人治港」、そして高度な自治に対して、新規に設置されたそれらに、いかなる制御力や権力が備わっているのかについては一言も触れていない。

また、香港にはすでに中国政府が設置した二つの機関がある。一つは中央政府駐香港連絡弁公室(以下、中連弁)、もう一つは中国国務院(内閣に相当)の香港マカオ弁公室(以下、香港マカオ弁)である。新たに設置される前述の機関、特に中央政府直轄機関がこの二つの既存機関といかなる上下関係にあるのかについても、明らかになっていないのである。

 

1月から「予兆」はあった

しかし、香港国安法の内容の一部が明らかになったことで、中国政府が香港に対する統治の姿勢を大きく変えると宣言したに等しいことは間違いない。そして実はその兆候は今年初めからすでに明らかになっていた

まず1月に香港マカオ弁と中連弁の香港担当責任者がそれぞれすげ替えられた

前者の最高責任者の主任を務めていた張暁明氏は香港の主権返還を話し合うための事務協議「中英連絡会議」の頃から香港事務に関わってきた「香港通」だった。そして、後者のやはり主任だった王志民氏も香港を担当して10年以上のキャリアを持つベテランで、張氏の後任職をずっと歩いて主任になり、今後張氏が香港マカオ弁主任職を離れた後にはそれを引き継ぐと見られていた。

だが、1月の突然の人事で張氏は主任から副主任へと降格され、王氏は中連弁から、そしてそれまで副主任を務めていた香港マカオ弁からも姿を消した。そして2人に代わって新主任に就任したのは、それぞれこれまでまったく香港との関わりをもってこなかった、国内の地方政府党委員会書記経験者だった。中国直轄機関から「香港スクール」が外されたのは明らかだった。

そして4月。香港の新型コロナウイルス感染状況がやっと落ち着き、香港政府が通常の業務を回復した途端、香港マカオ弁と中連弁(両者を合わせて以下、両弁公室)が、香港の最高議決機関である立法会の民主派議員を名指しで非難する声明を発表。昨年10月に立法会の新会期が始まって以来、立法会下の内務委員会で議長選出が進まないのは臨時議長を務めていた同議員の職権乱用のせいだと一方的に指摘した。