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「それ、気にしすぎだよ」男性が女性の訴えに口をはさむ前に考えたいこと

男性とフェミニズム

女子学生たちが語ったこと

新型コロナウィルスの感染拡大をうけて、大学は軒並みオンライン授業となった。私が担当する授業の一部は、毎週教科書や授業資料を読んで課題に答えてもらうオンデマンド型にした。

当初は学生から、ウェブ上ででも教員や他の受講生とリアルタイムでやり取りをしたいという要望も寄せられた。たしかに生のやり取りのよさもあるだろうが、一方で、オンデマンド方式にしたことによる想定外のポジティブな変化も見え始めた。

そうした授業では受講生の回答やコメントから選りすぐったものを授業後に配布し読んでもらっているが、学生たちが他の受講生の前では言いづらかった思いや打ち明けられなかった経験を吐露でき、それを皆で共有できるようになったのだ(もちろん、回答者の氏名や属性は記載せず、他人と共有されたくない回答は掲載しないようにして、回答者のプライバシーを守るようにしている)。

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とくにジェンダーにまつわる問題については、その傾向が顕著であるように見える。

例えば、女性がタクシーに乗車した際に男性運転手から性的な言葉を投げつけられるといったいわゆる「タクシーハラスメント」の例をある学生が挙げてくれたときには、100人少々の受講生のなかから、20にも及ぶ生々しい類似の実体験が示された。そうした実例を目の当たりにすると、性差別に「実感がわかない」と言っていた男子学生や一部の女子学生たちも、それを「他人事」として見られなくなる。

経験の共有がもつ意味は大きい。一方で、過去に何かしらの被害を受けたことがある女性は、他の女性たちも似たような経験をしているという事実を知ることで、自分が被害にあったのは、「運が悪かった」(ひどい運転手にあたってしまった)からでも、「自分に非があった」からでもなく、そうした構造が社会のなかにあるからだということに気づく。

そうして、自身の経験を女性への「ハラスメント」として捉え直し、自分が感じた怒りや気持ち悪さが何に向けられていたのかを理解し直すことが可能となる

また、同じ経験をしたことがない女性も、自分がいつでも被害者になりうることに気づき、自分が過去に受けた扱い——性差別やハラスメントとまでは言えないにしても、それに類似した扱い——を思い出し、それを新たな視点から見つめ直すことができるようになる。