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1本100円で菊を売り…「瀕死状態」からのV回復、宇和島のスゴ腕社長

「ベルグアース」山口一彦氏にインタビュー

日本中で作られている野菜の「苗の生産工場」と呼ぶべき事業を展開し、注目を集めている企業がある。愛媛県宇和島市の「ベルグアース」だ。年間約3700万本の苗を販売し、病気に強い「接ぎ木苗」では日本トップのシェアを誇る。農業高校を卒業後、事業を一代で上場させた社長・山口一彦氏(63歳)に話を聞いた。

強く育つ苗をつくる

苗の育成は人間の子育てと同じ。昼も夜も水や栄養が足りてるか見続けないと、すぐ枯れてしまうんです。病気の予防にワクチンを接種する必要もあり、手間がかかる。そうした作物づくりの大変な部分を専門的に行っているのが当社です。

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まず「病気に強い」「収穫量が多い」「甘い」など、よい特徴を持った植物を繋ぎ合わせ、より優れた「接ぎ木苗」を作ります。

さらに、枯れにくく強い苗にするために、あえて厳しい環境に置くなど、研究とテストを重ねたうえで、無限にある育て方から最適な方法を選び出します。すると、寒暖差や降水の多寡にかかわらず、強く育つ苗が出来上がるのです。

私の親父は野菜農家でしたが、それだけでは食えず、豆腐屋を兼業していました。それを見ていた私は、「食べていける農業をやろう」と菊の栽培を始めたのですが……これが大失敗、ぜんぜん儲かりませんでした。

たとえば、菊を1万本育て、一本100円で売れたとします。ならばと、2万本つくると、今度はなぜか一本の単価が50円程度に下がってしまう。「供給過多」という市場原理に気付いたのは、多額の借金を抱えたあとでした。

失意のなか、親父が野菜の苗を売っているのを見て、見よう見真似で苗作りを始めました。苗作りは手間がかかるから商売にはなるのです。