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世界が大変動する今こそ学びたい「戦争」と「歴史」の本質

大木毅さん人生最高の10冊

「学問としての歴史」を知る

多くの人は、魅力的な英雄や劇的な戦いに心惹かれて歴史を好きになります。もちろん私もそうだったのですが、『歴史とは何か』は通俗的な物語を超えた、学問としての歴史の手ほどきをしてくれた本でした。

歴史とは単なる事実の羅列ではありません。歴史の記述の中にはどうしても語り手の主観が入り込むため、それを認め、かつ、その主観性がどのように表れているかの見極めが大切なのだとこの本では語られます。

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歴史における「もしも」への批判も印象的です。たとえば「もしも関ヶ原の戦いで西軍が勝っていたら、どうなっていたか」。これを考えるのは面白いですが、単なる未練に過ぎず、歴史学にとっては意味がないという主張があります。

本書ではこのような考えは「未練学派」という言葉で説明されるのですが、高校生だった私はこうした議論に魅了され、大学では歴史学を学ぶことに決めました。

 

戦車大決戦』は、子ども向けの、戦車の歴史についての本です。

水島龍太郎はペンネームで、本名は近藤新治さん。元陸軍軍人で、防衛研究所の戦史部で戦史叢書の編纂に当たっていた方です。また、土門周平というペンネームで小説も発表しています。それだけにこの本のレベルは高い。

第一次世界大戦での戦車の登場から、第二次世界大戦における独ソ戦や日本軍のマレー進撃など、その作戦の詳細まで踏み込んでいる。

この本を読んで戦車の名前を覚えただけではなく、戦争には戦術や戦略があるのだと学びました。やみくもに攻撃をするのではなく、歩兵や戦車を進めるのにも理屈があり、勝利や敗北にも理由があるんだと納得できたのです。