16日、北朝鮮が開城(ケソン)にある南北共同連絡事務所を爆破した。
爆破後も韓国の文在寅(ムン・ジェイン)は北朝鮮に対話を求めているが、対韓工作の責任者である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長は文氏への批判を強めている。
これまで、北朝鮮に対して強硬策を求める米国と北朝鮮との宥和策のはざまを上手く切り抜けてきた文大統領は、両者に挟まれる格好で就任以来で最大の危機を迎えたといえる。
爆破実行の背景には、北朝鮮の韓国政府に対する不満がある。
国連制裁や新型コロナウイルスの感染阻止のための中朝国境の閉鎖などによって、北朝鮮の経済は疲弊している。
その一方、韓国は2018年9月の“平壌宣言”に記された内容を進めることができていない。
北朝鮮を支配する金一族は、厳しさを増す自国の状況への危機感と、韓国への苛立ちをら立ちを募らせていた。
今後、文大統領は一段と厳しい状況に直面するだろう。
最近の世論調査では、文大統領の支持率が53.6%に低下した。
新型コロナウイルスの感染再拡大に加えて、朝鮮半島情勢の緊迫化の影響は大きい。
それにも拘らず、文氏は北朝鮮との宥和政策を変えることは難しいだろう。
今後、文大統領は、米国と北朝鮮の間で“いいとこどり”をしてきたコストを払うことになりそうだ。