サンゴ「白化」の中にまさかの「カラフル化」が世界各地で発見中!

「信じられないほど美しい死の一段階」
熊谷 玲美 プロフィール

ただ、カラフルな白化現象が起こるのは、海水温の上昇が中程度か、短期間の場合に限られているという。そしてサンゴは、必要な栄養の約90%を褐虫藻に頼っているので、褐虫藻との共生が元通りにならなければ、やがて死んでしまう。

 

サンゴ礁は確実に減少している。今後20年で世界のサンゴ礁の70~90%が消滅するという最近の予測もある。

オーストラリアのグレートバリアリーフでは今年(2019年〜20年)の冬も、サンゴの大規模白化が発生した。この5年間で3回目の大規模白化であり、発生エリアの広がりでは過去最大規模だという。

グレートバリアリーフの空撮。海中に白化したサンゴの白色も見える Photo by Getty Images

ただ、グレートバリアリーフ海洋公園局のチーフサイエンティストのワチェンフェルド博士は、「私がもっとも恐れるのは、人々がこのサンゴ礁に対して望みを失うことです」と言っている

「望みがなければ、行動も起こりません」

カラフルな白化の色は、サンゴが「私を見て、気づいてくれ」と言っているようだと「チェイシング・コーラル」ではいう。それは同時に、「まだ望みはある」というサインかもしれない。

(なお、「チェイシング・コーラル」は現在、日本語字幕付きの全編がYouTubeで無料公開中。サンゴ白化に心を痛めながら、その撮影に奮闘する人々の様子が描かれた、優れたドキュメンタリーだ)

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