サンゴ「白化」の中にまさかの「カラフル化」が世界各地で発見中!

「信じられないほど美しい死の一段階」
熊谷 玲美 プロフィール

サンゴ礁は、サンゴが自分の体の下に作り出した石灰質の骨格が、サンゴの成長とともに積み重なったものだ。

サンゴのポリプと触手 Photo by JAYNE JENKINS / CORAL REEF IMAGE BANK

そうしたサンゴ礁を作る種類のサンゴは、細胞の中に褐虫藻という藻類を住まわせて、共生している。褐虫藻は、サンゴから二酸化炭素をもらって光合成をおこなう。その光合成で作られた有機物を、サンゴは栄養分として受け取る。

しかし、海水温が高い状態が続くと、サンゴの体内から褐虫藻が失われる。サンゴの体自体は無色なので、褐虫藻がいなくなると石灰質の骨格が透けて白くみえる。これが白化だ。

Illustration by OIST(沖縄科学技術大学院大学)

「白化=死」というイメージがあるが、ウィーデマン博士の共同研究者のダンジェロ博士は、「白化は必ずしもサンゴの死を意味しない」という

 

白化しても、サンゴは少しの間は生きている。海水温がすぐに下がれば褐虫藻が戻ってくる可能性がある。 ウィーデンマン博士らは実験を通して、カラフルな白化の色は、サンゴに戻ってきた褐虫藻を守るためだということを突き止めた。

いつもサンゴの中で太陽光を吸収していた褐虫藻がいなくなると、サンゴ内部に入り込む光の量が多くなる。すると、この光が刺激となって、サンゴは鮮やかな色素を作りはじめる。

海水温が下がって褐虫藻が戻りはじめると、この色素は強すぎる光から褐虫藻を守る日よけになる。そのおかげで無事に褐虫藻の数が増えて、サンゴ内部の光の量が減ると、サンゴは鮮やかな色素を作るのをやめる。

サンゴが色素を作り出す機能が、光の量の増減に合わせてオンオフする、サーモスタットのような巧みなしくみだ。サンゴは白化しても、回復をめざすための方法を用意しているのだ。

「まだ望みはある」?

サンゴの白化の大きな原因は、私たち人間が引き起こしている気候変動だ。

しかし、白化したサンゴが死ぬのを待っているだけだというのも、人間の身勝手な思い込みかもしれない。