「有力者の娘」による虚偽だらけの保育

事件直後、ネット上には生後9ヵ月のわが子を宿泊を伴う保育施設に預けた両親への批判もあった。それは主に「トイズ」の経営者が事実とは全く異なることを触れ回っていたせいだ。両親は久美子被告を名誉毀損でも訴えており、その両親の訴えが判決で認められた。他の利用者に対し、愛美利ちゃんの両親が「本当は旅行に行っていた」「前の週にも海外旅行に行っていた」「ネグレクトだ」などと事実とは異なる嘘を伝え、メディアを通してもその嘘が広まってしまったことから、両親は非常に辛い時期を過ごした。しかし事実は全く異なる。両親は暑い夏に仕事に連れて行くよりも「トイズ」に預けた方が愛美利ちゃんの負担が少なく、むしろ良いと判断したからこそ、わざわざ預けたのだ。

被害者のご両親が責められるという悲しい状況もあった Photo by iStock

愛美利ちゃんの両親が「トイズ」を信用していたことには訳がある。実は「トイズ」を経営していたのは木村久美子被告自身だが、その父親は、地元で私立幼稚園を経営する元県会議員という有力者であり、その父親が「トイズ」の代表として表に名を出していた。「トイズ」のホームページ(現在は閉鎖)やパンフレットには、英語やモンテッソーリ、さまざまな学習など子どもの教育に関わっているという有名大学卒の講師の名前がたくさん掲げられていた。また、子どもの健康面についても「看護師が常駐」「嘱託医と連携」「離乳食は栄養士の管理の下、すべて手作りしている」などと記載されていた。それらの資料から、愛美利ちゃんの両親は「ここなら良いだろう」と信じて預けたのである。

ところが、実際にはそれらはすべて虚偽であった。事件が起きてから、有名大学卒の講師はただ名前を勝手に使われただけで施設での教育には関わっておらず、嘱託医看護師も、栄養士もおらず、まともな食事や飲み物すら与えられていなかったことが判明し、久美子被告は詐欺罪で起訴されている(現在、刑事裁判係属中)。