アパレル「大量の売れ残り」はどこへ消えるのか…その意外すぎる「現実」

もはや「正価」販売は風前の灯へ
小島 健輔 プロフィール

持ち越すのは「3年が限界」

紳士服業界などシーズン中にはセールを繰り返しても7割弱しか消化できず、来シーズンに持ち越して新作と合わせて販売する業界慣習が定着している。まるで鰻のタレのような話だが、事実だから仕方がない。

ベーシックな商品では珍しいことではなく、大躍進しているワークマンも「定番品は10年継続」を謳ってEDLP(常時低価格販売)に徹し、売れ残り品は来シーズンに持ち越すから、値引きロスは年間売上の1.2%に過ぎない。

そうは言っても、何年も持ち越すと物的に損耗してしまうし、価値が落ちる一方で倉庫代が嵩んでいくから、資金繰りが苦しくなると処分せざるを得なくなる。ベーシックな商品でもアパレルは3年でフィットが変わるから持ち越すのは3年が限界で、ファッション性が強い商品は持ち越しても売れる見込みが薄いから早々に叩き売るしかない。

売れ残りは二次流通業者へ回される photo/iStock
 

アパレル業界が儲かっていた往時には、ブランドイメージの毀損を恐れて焼却処分することも多かったが、いまや資金繰りにも窮するアパレル業界にはそんな余裕はなく、少しでも資金を回収すべく二次流通業者(バッタ屋さん)に放出する

その買取相場はシーズン初期なら生産原価の半分ほどだが、セール時期になるとその半分、持ち越すとさらに半分になる。今回のコロナ休業では二次流通業界の買い取り資金が追いつかないほど大量に放出されたから、相場はさらに切り下がったと聞いている。