年間約15億点が売れ残り在庫化している… photo/iStock

アパレル「大量の売れ残り」はどこへ消えるのか…その意外すぎる「現実」

もはや「正価」販売は風前の灯へ

2ヵ月近いコロナ休業で大量の在庫が行き場を失い、ようやく営業を再開しても感染を恐れて客足の戻りも鈍く、多くのアパレル企業が「資金繰り」に窮する事態となっている。これほどのダメージとなった背景には、じつはアパレル業界が直面している「過剰在庫問題」なるものが横たわっていることをご存じだろうか。

「アパレル業界ではもはや売れ残りが常態化しており、それが問題を根深くしている」――そう指摘するのは小島ファッションマーケティング代表の小島健輔氏。そんな小島氏が、アパレル業界に巣食う「大問題の正体」を赤裸々にレポートする。

これがアパレル業界の「現実」だ… 図表/小島ファッションマーケティング作成
 

「過半が売れ残る」ことが常態化

直近19年には98%を占める輸入品とわずか2%にすぎない国内生産品を合わせて28億4600万点のアパレル商品が供給されたが、国民の総消費数量(外国人旅行者消費は含まず)はセール品も含めて13億7300万点と48.2%に留まった。

90年には11億9600万点が供給されて11億5400万点が購入されていたから、期末セールなども合わせて96.5%が消化され、売れ残る商品はわずか3.5%(4200万点)に過ぎなかった。

当時はまだ国内生産品が52.1%とかろうじて過半を占めていたが、バブル崩壊以降のデフレの急進で衣料品の購入単価も92年をピークに年々下がり続け、リーマン後の2010年には92年の64.2%まで落ちた(19年では66.8%)。

デフレとともに高コストな国内生産から低コストな中国生産へのシフトが進み、91年には早くも輸入浸透率が52.1%と過半を超え、00年には86.4%に達して国内の衣料産地はほぼ壊滅した。近年は中国のコスト高騰から南アジアへの生産地シフトが進み、19年の輸入浸透率は98%に達した。