コミュニケーション・ギャップは「具体と抽象」を常に意識すれば解決する

『問題発見力を鍛える』vol.18
細谷 功 プロフィール

「総論賛成各論反対」が起こる理由

このような「総論賛成各論反対問題」の根本にあるのが具体と抽象という人間が基本的に持っている知的能力の枠組にあります。下の図を見てください(図:『具体⇔抽象トレーニング』より)

ここでのポイントの一つは、総論という抽象度の高い概念は「一つ」であるのに対して各論というのは参加者の数だけ多種多様に存在するということです。

 

ここで一つ問題を出しましょう。

「現場の意見」と「専門家の意見」に関して起きる共通の問題の構図を先の図で考えてみてください。

これらの共通点は、実は多様な「現場」や「専門家」の意見をごく少数の意見だけで代表して、それが全てであると思い込むことがよく起きるということです。

「専門家の意見」「現場の意見」という形で一般化されると、受け取る側の多くは先の図でいうところの抽象(総論)のレベルで多くの専門家や現場の人たちの意見をまとめたものと考えてしまいがちですが、実際の多くの場合には、具体的に様々な人たちが存在する「具体的なレベルのものの一つ」でしかないのです。

新型コロナの問題に関しても、「これは専門家の意見だから」と言われるとそれを絶対的なものとしてとらえてしまいがちな状況があったかと思います(それで別の専門家が正反対のことを言ったりすると混乱に陥るわけです)。

基本的に「専門家」という言葉=抽象概念は多くの分野の異なる人たちの集合体である以上、それは「一人」あるいは一枚岩であるはずがないので、そもそもそれはあくまでも○○分野の専門家の声の一つであるという認識で聞かなければいけないのです。

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