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香港問題の真の意味…世界が直面しているのは「反民主主義」の脅威だ

いつか見た危うい政治状況

「香港の壁崩壊」を恐れている共産主義中国

香港における民主主義の危機については6月9日の記事「香港『国家安全法』で、民主主義vs反民主主義の戦争がいよいよ始まる」などで繰り返し述べてきた。

東西冷戦時代、自由主義・民主主義陣営から「赤い海(共産主義諸国)に浮かぶ自由の島」と呼ばれていた西ベルリンは、壁(1961年建設)によって周囲から分断され、まさに冷戦の象徴であった。

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なお、西ベルリンは第2次世界大戦終戦後1949年から1990年まで、アメリカ・イギリス・フランスが占領したベルリン西部の地域だが、西ドイツの公式な領土ではなかった。

香港に物理的に強固な壁が建設されているわけではないが、1997年の再譲渡・返還の際に定められた「1国2制度」がまさに「見えないベルリンの壁」の役割を果たしてきた。

つまり、東側に囲まれたベルリンの中に飛び地として存在していた西ベルリンのように、香港も反民主主義(共産主義)国家の中に、民主主義(自由主義)の飛び地として存在していたと言える。

東西両陣営が「ベルリンの壁」を挟んでにらみ合っていたのが冷戦だが、東側で高まった民主化のうねりを背景に、偶然も重なって一気に壁が崩壊し、最終的には民主主義国家である西ドイツ主導で、「反民主主義国家」東ドイツを(実質的に吸収する形で)再統一した。

これですべてのドイツが民主化されると誰もが思ったが、そうではなかったことは、この後述べる。

 

香港では、中国共産党が1国2制度という「見えないベルリンの壁」を破壊しようとしている。しかしこれは、逆から考えると、香港という民主主義・自由主義の砦が、中国大陸の反民主主義国家を侵食することに対して、中国共産党が耐えられなくなっているということを意味する。