6月22日 実用的なジャイロコンパスが発明される(1908年)

科学 今日はこんな日

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"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1908年の今日、ドイツ人ヘルマン・アンシュッツ(Hermann Anschütz-Kaempfe、1846-1931)によって、航海用の実用的なジャイロコンパスが発明されました。

ジャイロコンパス Photo by iStock

コンパスそのものは非常に古い歴史を持っており、3世紀ごろには中国で「指南魚」という元祖コンパスともいうべき道具が発明されています。指南魚は魚の形に彫られた木の頭の部分に磁石を埋め込み、水に浮かべると必ず南を向くというものでした。人を教え導くという意味の言葉「指南」の由来にもなっています。

それ以降、コンパスは探検や航海において方角を知るための重要な道具でした。

しかし、19世紀になって、船舶の主要な材料がこれまでの木材から鉄や鋼に変わると、コンパスが受け取る磁気に大きな誤差をもたらすようになります。コンパスの導き出した方位が正確ではないことに気づかず、座礁する船も少なくありませんでした。

 

そこでジャイロコンパスが発明されるのですが、その原理はフランスの物理学者レオン・フーコー(Jean Bernard Léon Foucault、1819-1868)が考案したものでした。振り子の実験でも知られる彼は、地球が自転していることを証明し、わかりやすく示すための研究をしていました。

そこでフーコーは、直交する2つの軸で円盤を支え、倒れても円盤の回転方向が変わらないようなコマを発明しました。これは地球の歳差運動を説明するものでしたが、地球の磁気にかかわらず常に北を指すジャイロコンパスの原型にもなったのです。

フーコーが考案したコマ。「ジャイロスコープ」や「地球ゴマ」と呼ばれる Photo by iStock

そして1906年にアンシュッツがジャイロコンパスの最初の試作機を作り、2年後に特許を取得しました。彼は薬学者でありながら潜水艦で北極を探検するという野望を持っており、戦艦ドイツランド号による試験航海も敢行しています。

一方、アメリカでは電気技術者のエルマー・スペリー(Elmer Ambrose Sperry、1860-1930)によってジャイロスコープ開発が進んでいました。1911年に特許を取得した彼は、アンシュッツと競うように改良を続けました。彼らが開発したジャイロコンパスが、現在でも多くの船舶や飛行機に搭載されています。

エルマー・スペリー Photo by Getty Images

ちなみに、1910年代前半にはスペリーによってジャイロを動力とした二輪車も開発されていました。そのときには実現しませんでしたが、この発想はおよそ100年後にセグウェイとして実用化されています。