ドイツ人記者が驚いた日本の「自粛警察」

規則違反者への憎悪
フェリックス・リル プロフィール

東京のパチンコ店の前で見られたこの光景のように、そこでは市民的勇気が社会的迫害に変貌することも珍しくない。というのも、パチンコ店の営業は禁止されていなかったからである。政府は目下のところ客がパチンコ店を訪れることを快く思っていないが、なおもそれを認めているのである。

ここ数週間、日本ではこのような事件が増えている。新聞やテレビはほぼ毎日、これらの事件を報道している。

新規感染を防ぐため、人々にできるだけ家にいるよう怒鳴りつける活動は、日本社会の強さのあらわれなのだろうか。それとも逸脱者への非難はむしろ、コロナによって生じたさらなる国民的な脅威――それも健康上の脅威ではなく、社会的な脅威なのだろうか。

人通りが少なくなった3月末の渋谷〔PHOTO〕Gettyimages
 

ヒエラルキーと集団意識の力

ファシズム研究の第一人者によれば、こうした動向はまさにファシズム的だ。「コロナ危機の発生以降くり返し見られる動向を、私は非常に憂慮しています」と語るのは、社会学者で甲南大学(神戸)教授、現在ベルリン・フンボルト大学で客員教授をつとめる田野大輔氏である。

もっとも、彼は驚いてはいない。コロナ危機の発生以前に行った研究にもとづく彼の社会診断が、いま現実となって表面化しているだけだという。

田野氏は大学で10年以上にわたって毎年、映画『THE WAVE ウェイヴ(原題:Die Welle)』のファシズム実験を再現する授業を行ってきた。4月に出版された彼の著書『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』は、この授業の内容を紹介したものだ。