「教える」より「寄り添う」大切さ

アフターコロナの教師は、教えるよりも、寄り添うことに軸足を置いたほうがいいでしょう。この「寄り添う力」を証明するような話があります。

1990年代。地方の貧困層の教育が問題視されていたインドの教育科学者は、貧困層の子どもたちにパソコンを渡し、自分たちで自由に学ぶよう言い残して去っていきました。そこにいる大人は教えられないので、無用の長物になるだろうと誰もが思いました。
すると、子どもたちは自分たちでパソコンを使い始めました。学習アプリを使い、わからないことはグーグルで検索して勝手に学び始めたのです。少し学力は上がったのですが、一方でパソコンに飽きて学びをやめる子が出てきました。

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そこで教育学者は、その地域にいる中年女性に「とにかく子どもをほめてくれさえすればいいから。いてくれるだけでもいい」と、子どもに寄り添ってくれるようお願いしました。要するに、おばちゃんの「見守り」です。

「あら、すごいわね」「よくできたね」などとおばちゃんはほめたのでしょう。すると、子どもたちは、うれしくてパソコンを使って学びを再開しました。もっとほめられたいので、以前に増して意欲的に取り組んだのです。

すると、どうなったか。
その結果、高所得層の通う私立小学校の生徒たちと、同じ学力にまでアップしたそうです。

2007年のインドの公立小学校。PCでの授業は早くから取り入れられているが、貧困層との差について、「与える」「見守る」だけでも上達するのだということがわかったのだ Photo by Getty Images