家族のような仲間たちの反応に感謝
この頃、自宅には仲間たちから素敵なお見舞いが届いていました。
皆さんがめいめいに体に良いと思われるものを送ってくれたのです。役者の先輩の田中真弓さんは「教ちゃん、大変だね、とにかく体に良さそうなものを送るから、何かあったら言ってね」という文面と共に実家の姉の仕送りのような自然食品が箱に詰められて届きました。実家の姉が弟のために食べ物を選んでいるような映像が思い浮かびます。
歌手の坂田おさむさんは、体調を維持する秘訣を教えて下さり、最後に「勝手にいつまでも応援するからね~」と大きな文字で書いてありました。子供たちに笑顔で歌を歌っているおさむさんの顔が浮かびました。
仲間から次々と心のこもったものが届きました。その都度にこみあげてくるものがありました、絶望で泣きそうだった時に、その涙を感謝の涙に変えてくれたと思います。メチャクチャ免疫力が上がって進行がゆっくりになった気がしました。
まさに「病は気から」の後押しを先輩や仲間たちがしてくれたのです。
アニメ収録の現場では、本来は一人で抜き撮りという方法で収録するはずでしたが、まる子役のTARAKOさんが「教生くん、一緒に収録しようよ、座ってできるようにすればやれるでしょ♪」と言ってくれて「うん、できればやりたいな」と言うとすぐに交渉してくれて、エンジニアの方たちが快く場所を設定してくれて無事に収録が出来ました。
「TARAちゃん、どうだった?」
「うん、大丈夫、全然いつも通り」
たまちゃん役の渡辺菜生子さんも
「良かったよ、いつもよりも良い感じくらい」
「えぇ~っ、もう~っ(笑)」
と二人とも笑顔で話してくれました。
TARAKOさんとは10代からの付き合い、渡辺さんは大学の一期先輩でもあります、この二人のお墨付きがあれば怖いものはありません。
無事にスタジオに行って収録をすることも出来ました、これで色々な体制が整ったので、いよいよALSの治療にも専念できるはずです。
……ところが、思いもよらない事が私を襲ってきたのです、このままではALSの治療や治験が受けられない事が判明しました。
検査入院時、偶然見つかった大きな腫瘍がすべての妨げになっていたのです。
【津久井教生さん連載「ALSと生きる」、次回は7月4日(土)公開予定です】
津久井さんが2020年6月に収録した弾き語り動画はこちら↓