ALSを説明すると周囲は暗くなります

退院当日には、事務所に電話をいれました。しかしデスクの方のおしゃべりがいつものように明るい歯切れの良いものではなくなっていました。

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「無事に退院しました、病名もしっかりと分かりました」
「はい、あの……退院おめでとうございます」
「ありがとうございます、スッキリしました♪」
「はい……そのことに関しては良かったですね」
「病名はALSでした、なりたくない病気になっちゃいました」
「驚きました、本当に大変な病気なのですね……」

原因は前日に告知された病名である「ALS」について事務所の社長をはじめとしたメンバーに送っていたメールです。この文面が少しまずかったのです。あまりにもストレートに書き過ぎました。色々とフォローの文章も書き添えたつもりだったのですが「3年から5年で寝たきりになり死に到る病気」いう一文が前面に出過ぎてしまったのです。

後に社長にお会いした時に「メールを読んだら返信で励まそうにも言葉が見つからない病気説明だったよ」と言われました。「申し訳ありませんでした」と言うと「だから直接早く会おうと思ったんだ」と言ってくれました。まさに私の状態は、会わなければ説明できないものだったのです。

それはなぜか。実は私はこの時点で自力では歩けないくらいになっていましたが、とにかく「声が元気」なものですから、電話だと何も体の状態が伝わらなかったのです。でも声に関してはありがたい事なのでした。ですからこんなやりとりがありました。

「レギュラー番組の収録や声優養成機関の講義などは大丈夫ですか?」
「はい、車椅子で向かう事になると思いますが、今のところ喋れるので先方さんがよろしければ大丈夫です」
「了解しました、確認をします」
「10月1日にSNSで病名を公にします」
「はい、1度事務所に来ていただければと思います」

電話を切った後に少し不安になりました、私はお仕事をしたいけれども、先方さんにはかなりの迷惑をかけてしまうのですから。