米国デモ・暴動が結局「トランプ再選」をサポートするという現実

たとえばテロでイスラム差別は消えたか
大原 浩 プロフィール

テロが黒人の地位向上に役に立つのか?

しかし、彼らが次々と行うテロが「イスラムの地位向上」に役立ったであろうか? 事実は全く逆である。欧米社会のイスラムへの「恐怖と差別」はますます先鋭化した。

大多数を占める「良識あるイスラム」は、ごく一部の過激な人々によるテロ行為をはなはだ迷惑に思っているに違いない。

良識ある非イスラムであっても、これだけ頻繁にテロが起こると「イスラム=テロ」という図式が頭の中にこびりついてしまう。良識あるイスラムも同胞に対してそのような印象を持ってしまうのではないだろうか?

今回のフロイド氏の死をきっかけにした「抗議デモ」において、平和的な行進などは民主主義の権利の範囲内だ。しかし、それでも新型肺炎で多数の死者を出している米国で「今の時期にデモを行う」ことが「他人への思いやり」を持つ人々が行うことかどうかという問題はある。ウイルスの拡散におびえている人びとにとっては、迷惑千万である。

別に街頭に出なくても、民主主義で保証された権利を主張する方法はいくらでもある。SNS、ブログ、ZOOMなど数え切れない。仕事の大半が在宅でできるのであるから、わざわざこの時期に街頭デモを行う意味を見いだせない。

SNSなどのネットでは「理路整然とした反論」を浴びるから、街頭デモという感情的(理論的、合理的な精緻な説明はされない)な手法で、ムードで一気に押し切ろうという魂胆が見え隠れする。

1994年、南アフリカ初の全人種が参加した普通選挙を経て大統領に就任したネルソン・マンデラ氏が偉業を成し遂げたのも、彼が「暴力に訴えずに幅広い人々の支持を集めた」からである。また1968年にテネシー州メンフィスで不幸にも銃弾に倒れたキング牧師についても同じことが言える。

「白人の大統領」であるエイブラハム・リンカーンによる1863年の奴隷解放宣言以来、2009年に黒人初の大統領を生むまでに黒人の地位が向上したのは、キング牧師らの「非暴力的活動」のおかげであることは間違いない。

 

決してマルコムXで有名な暴力集団のブラック・パンサー党が貢献したのではない。むしろ、毛沢東主義の影響を受けた極左集団は、黒人のイメージを低下させただけだと思う。