メガバンク「3番手」からの逆転を狙うが… photo/gettyimages

コロナ直撃のみずほ銀行、ここから「驚異のV字回復」するかもしれない…?

ソフトバンクと手を組むまでの「内幕」

コロナショックは、多くの企業経営者に「変化」と「決断」を迫っている。中でも銀行業界はその影響が大きく、現役のメガバンク社長たちも例外ではない。特に、メガバンクの中で「一人負け」が続くみずほの動向に注目が集まっている。

6月18日には突然、あのソフトバンクと手を組んでスマホ決済「PayPay(ペイペイ)」を活用したスマホ融資に乗り出すというビッグニュースが駆け巡り、銀行業界を騒然とさせたばかり。過去の危機を振り返れば、時にトップが右往左往して傷を深め、時に英断でピンチを切り抜けてきた。翻って今回はどうか、そして生き残ることはできるのか――。

今回、新作小説『よこどり 小説メガバンク人事抗争』で銀行の在り方について独自の切り口で迫った作家の小野一起氏が、メガバンクの現役幹部、元日銀幹部など最前線を知る行員たちと緊急対談。ソフトバンクと手を組むみずほの知られざる「内幕」が浮かび上がってきた!

メガバンクで「一人負け」化しているみずほ銀行 photo/gettyimages

みずほには「前田」がいた…!

小野 銀行の経営は、バブルの崩壊にともなう不良債権問題による再編を経て、デジタル化やグローバル化でビジネスモデルの根本を見直すような課題に直面しています。そしていま、コロナショックという強烈な洗礼を受けている。みなさんから見て、不良債権問題などの荒波の中、組織を引っ張ってきたトップたち、アフターコロナを見据える現役の社長たちの素顔は、どんな風に映っていますか。

メガバンク部長A(50代) 差し障りもあるので、うちの銀行のことも、「他行のこと」みたいに話してもいいですか。そうすると本音で、話せますから(笑)。

小野 もちろんです。Aさんは、金融庁や他行との接点も多いポジションを経験しているので、他行の内情もよくご存じです。Bさんも日銀でメガバンクと接点の多いご担当を経験しています。Cさんも金融庁や他行のことにも詳しいので、今日はそのスタイルで遠慮なく、本音でお願いします。

メガバンク部長A 私が、まず思い浮かべたのは、みずほフィナンシャルグループ社長だった前田晃信さんです。今年の1月にNHKの会長に就任して一躍、時の人になりました。

前田晃信氏 photo/gettyimages
 

小野 前田さんは、個性的な方です。なにせ朝6時に銀行に出勤して、夕方の5時には帰宅してしまう。私も取材でお世話になりました。前田さんが社長に就任する前に、社長になってからも、この仕事のスタイルを続けるんですか、と聞いた時の前田さんの答えが傑作でした。

「山本さん(当時の富士銀行頭取)から『今日は、ちょっと残ってほしい』と言われたから、『嫌です5時には帰ります』と答えたら『今日だけはどうしても残ってほしい』としつこく言われたので、しぶしぶ残ったら『社長を引き受けてほしい』と言われたんだよ。だから『このスタイルのままで良いなら引き受けます』と答えたら『分かった。それでいい』と言われたので、社長を引き受けたんだよ」 

独特のユーモアを持っている方でした。前田さんには「ゴルフはカネとボールと名誉をすべて失うからやらない」なんて名言もあります。