このところ芸能人の不倫報道が絶えないが、コロナ下でもワイドショーで時間を割いて取り上げ、SNS上で多くの人が話題にするのだから、「不倫」は日本の人気コンテンツといえるかもしれない。

映画ライターとして、そんな不倫をテーマにした映画を最近何本か鑑賞したのだが、ふと、あることに気づいた。日本映画とフランス映画で、「既婚女性の不倫の描かれ方」がまるで対照的なのだ。その違いについて考えてみたい。

不倫女性を弱く、不幸に描く日本

日本の不倫映画では、不倫する既婚女性を暗く、悲観的に描くものが多い。たとえば最近では、島本理生の同名小説を映画化した『Red』(6月21日よりデジタル配信)。

夏帆演じる裕福な家庭の主婦、塔子が妻夫木聡演じる元カレと再会し、女性としてのセクシュアリティとアイデンティティを取り戻し、彼女を性的対象物や家政婦としてか見ない夫から自立していく成長物語なのだが、本作では女性は“搾取される性”であり“社会的弱者”であるというメッセージを強く発信している。

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近年公開された不倫をテーマにした作品としては、『彼女のその名前を知らない鳥たち』(2017)、『紙の月』(2014)、『昼顔』(2017)などがあるが、女性たちは依存的だったり、不幸な結婚生活を送っていたりしていて、不倫相手で自分の欠落した部分を埋めようとする女性が多い。そして、最後には離婚、犯罪や死に帰結し、不倫には“恐ろしい代償“が待っているかのような印象を与える、ドロドロとしたストーリーがほとんどなのだ。

趣が異なるのは、『人のセックスを笑うな』(2007)くらいだろうか。永作博美扮する美術教師は自立した大人の女性で不幸な結婚生活を送っておらず、悪びれずに生徒と関係を結ぶ。彼女は、松山ケンイチ演じる不倫相手の生徒にときめき以外何も求めないし、彼女の人生も崩壊しない。不倫する既婚女性が悲劇的に描かれていない最近の日本映画で思いついたのは、この作品だけだ。