認知症で記憶の衰えた落語家が、それでも高座に上がり続ける理由

ネタ帳を持ち込んで…
週刊現代 プロフィール

「最近、『遺伝子組み換え』に関する本を読みまして、こういう世界や物の見方があるんだなあと考えさせられましたよ。

認知症だから内容は全部忘れちゃうんだけど、『なるほど、こんな考え方があるのか』と発見した喜びや驚きは忘れないものです。だから今はもっと科学の世界のことを知りたいと思います。

何かに夢中になったり、楽しんだりするってことは歳を取るほど難しくなる。だから、自分が面白いと思ったことはなんでもやってみないともったいない」

圓丈さんは新作落語を得意としてきたが、古典落語が自分のベースにあるとも感じている。

「やはり古典には、人間の連綿と変わらない本質が現れています。そういう本質的なものを次の世代に残していくというのは、とても大切だと思います。不要不急のお笑いにだって、本質的なものは宿っていますね。

私が死んだら、変な落語ばかりやって、おまけに変な研究に精を出していた人って報じられるでしょう。でもそれでいいと思います。人生二毛作ですよ。

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面白いな、きれいだなと思うこと、夢中になれること、つまり自分の宝物を人生でどれだけ見つけられるかです。誰にだって特技はある。一生懸命やればエキスパートになれるかもしれません。

人生の後輩たちには、いろいろ変なことばっかりやっていたけれど、なんだか楽しそうな人だったなと思ってもらえばそれで幸せです」