Photo by iStock

まだ部長のつもり? 過去にすがる「残念おじさん」にならない具体的方法

退職したら、名刺は破り捨てよう

退職して始めて感じた開放感

第一勧業銀行(現・みずほ銀行)で広報部次長を務め、49歳で作家に転身した江上剛氏(66歳)が語る。

「銀行を辞めた直後に、当時の役員が食事をご馳走してくれたことがありました。私の本名は小畠っていうのですが、『小畠も頑張れよ』と励ましてくれて、その食事会はお開きになりました。

Photo by iStock

彼は役員だったから、運転手つきの迎えの車が来る。そこまで遅くない時間だったため、私は、電車に乗って最寄り駅からは歩いて帰りました。

その時に、自分は自由の身なのだということを実感して、とても充実感を抱いたのです。人生に勝ち負けはありませんけれど、この自由を味わえる自分はとても幸せだと思いました」

不思議なことに、運転手つきの車に乗って、優雅に帰る役員に、「羨ましい」という感情は湧かなかった。組織に縛られているからできる贅沢に未練はなく、解放感を感じながら家路に着いたのを覚えている。

 

定年した人だって同じだ。退職した立場をかつてない「自由の身」として味わうことができれば、過去の肩書にこだわる必要はなくなる。

晴れて自由の身となった後、江上氏は新しい一歩のために「人間関係の棚卸し」を行った。名刺の山を前にして、この人は自分が銀行員という肩書をなくしても付き合ってくれる人か、あるいは付き合うべき人なのか、見極めたのだ。

「大量にあった名刺の山は、みるみる小さくなっていきました。でも、まったく悲しいとは思いませんでした。残った名刺の人たちとの関係を深めていけばいいのだと思っていましたから」