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姜尚中さん、阿川佐和子さんが語る「コロナ禍で再確認した生きる歓び」

嘆き苦しみ、騒ぐのではなく…

新型コロナウイルスによってこれまでの「世間の常識」が変わりつつある。こんな時こそ大切な人との関係や人生を見つめ直すチャンスかもしれない。あの人はこの災厄から何を学び、気付いたのか。残された時間を愉しく有意義に暮らす秘訣を探る。

記憶を温めなおす

「私を含め、いま60代、70代を迎えている人たちは、世の中がどんどん成長、拡大を続け、光り輝く未来へ進んでいった、高度経済成長期に幼少期を過ごしました。本来ならば、生と死というのは地続きのものです。けれど、影の部分が見えにくい世相だったために、死を遠ざけて、生だけを満喫してきてしまった。

コロナ禍は、死はとても身近にあるということを突きつけました。だからこそ、今回のことで初めて、死を見据えて生きるにはどうすればいいのか、思いを巡らせているという方は少なくないのではないでしょうか」

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そう話すのは、政治学者の姜尚中さん(69歳)だ。

死はある日突然訪れ、先のことは誰にもわからない。多くの人が、わかったつもりでいたこの当然の事実を、本当は何も知らなかったのだとつくづく感じている。

姜さんは、11年前に、息子を亡くしている。自死だった。以来、父親としての自責の念、抱えきれないほどの悲しみに襲われ続けた。いまも、「おかしくなりそうだから、あまり息子のことは語らないことにしている」と言うが、それでも、時が経つことでしか腑に落ちないこともあると感じている。

 

「私も、死ぬときの体の痛みに対しては恐れがあります。ですが、それを除けば、歳を重ねるごとに、死が怖くなくなってきました。

死後の世界は誰にもわかりません。亡くなった後に、大切な人にまた会えるかもしれない。その可能性は、誰にも否定できません。それなら、死後の世界があると信じたほうがいいのではないかと思うようになったのです。