創造主は「白い神」?

アメリカで黒人の命が軽んぜられているのには驚くが、今にはじまったことではない。じつは、100年以上も続いている。アメリカ独立宣言の冒頭には、「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」とある。皮肉である。

これは、アメリカで平等の権利が与えられていない黒人は、人間ではないということを意味する。創造主である神は「白人のための神」すなわち「白い神」ということらしい。人種差別は、人権を高らかに謳うアメリカというキリスト教国家のかかえる恥部であり、長年の病なのである。 

「アメリカ独立宣言」(ジョン・トランブル画、1819年)

しかも今、アメリカで猛威をふるう新型コロナウイルスは、黒人を他の人種にくらべ、より甚大に破壊している※4。たとえば、人口当たりの新型コロナウイルス感染者数において、黒人はアジア系の7倍、ヒスパニック系の5倍、白人の3.5倍。同じく死者数においても、黒人はアジア系の16倍、ヒスパニック系の10倍、白人の5.7倍となっている。 

黒人は、新型コロナウイルスによる甚大な被害と警官による暴力という2つの問題を抱えている。どちらもアメリカにおける構造的な人種差別の結果であるが、警官による暴力は生活に深く組み込まれており、新型コロナウイルスの脅威よりも長く残る。フロイド氏とテイラー氏の死は、数百年にわたるアメリカの歴史を形作ってきた国家公認暴力の悲劇的なパターンなのである※5