白人警察による「弱者」への嫌がらせ

新型コロナウイルスの感染拡大によって世界の在り方が変わりつつある最中、白人警官が黒人を殺害する事件が相次いで起こった。この根幹に人種差別があることが明らかになった。人種差別に反対するデモによって米全土が騒然となり、ウイルス騒動さえ吹き飛んでしまった。

人種差別という問題は人権を高らかに謳うアメリカというキリスト教国家のかかえる恥部であり、多くのアメリカ人はできることなら隠しておきたいことである。だが、トランプ大統領による度重なる人種差別的な発言によって社会の分断の程度が臨界近くに達していたところに、白人警官による黒人の殺害という事件が相次いで発生した。人種差別に反対する抗議デモと暴動は米全土に広がる。 

ニューヨークで行われたデモ行進 photo by gettyimages

私が人種問題を最初に意識したのは、30年以上前(1980年代)にシカゴで大学に勤務していたとき、白人警官を法廷に訴える嘆願書を出すための署名を黒人のタクシー運転手から頼まれたときである。彼によると、白人警官が多くのタクシー運転手に嫌がらせや営業妨害をしているからとのこと。

多くのタクシー運転手は黒人、ヒスパニック系、それから移民者などで、社会的な弱者が多い。警官による嫌がらせは、勝手に違反キップを切る、勝手に停車させて尋問する、勝手に逮捕するなど。これでは生活が成り立たない。私は彼の差し出した書類に署名した。