「転勤」「親と子のダブルケア」
かかる比重も女性に多い

民間企業で問題となっていてまだ解決出来ていないものに「転勤問題」があると思っている。男女共に働く時代が来ても「転勤命令」が出ると、時代は突然昭和に戻され「女性が辞めて男性の転勤についていく」パターンが圧倒的だ。例え同じような経歴で同じようなキャリアを積んで来た2人でも、いざ転勤命令が下ると「辞める」選択肢を突きつけられるのは高い確率で女性になってしまう。もちろん、企業はあの手この手でこの状況に対応しようと、転勤先の地方に奥さんも働けるポジションがないか探したりすることもあるのだけど、限界がある。結果としてキャリアを断念する女性も多い。

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河合氏が疑問視する「日本女性たちは能力に見合った仕事を与えられているのか」という点については、まだまだなのかもしれないと感じる。そして、能力に見合う仕事を継続的に得ることがとてつもなく難しいために、多くの女性はギブアップしてしまう。要するに大変過ぎるのだ。一方で今後の少子高齢化社会においては若い世代のカップルが両親4人の老人を看る時代になる。兄弟も少ないし、昔のように「長男が看る」なんて価値観もないわけだけから「実際誰が看るの?」という問題に殆どの日本人が直面することになるだろう。

介護も、育児も、仕事も…それをひとりですべて行うのは無理だ。それが男性であっても、女性であっても Photo by iStock

河合氏は介護を少人数の家族で看ようとすること自体に無理があり、ここはもうアウトソースするしか方法はないと断言されている。ここでのアウトソースを実現するためには、夫婦共働きで稼ぐ必要もあるかもしれない。もしかしたら介護サービスにおける国内の需要は爆発的に供給を上回り、介護サービス自体がものすごく高価なものとなるかもしれない。その時のためにも、女性が本来持っている能力を正当に評価し、能力に合った仕事やポジションを与え、女性たちに飽きられずに働ける環境と世界観を日本社会は用意しなければならないと強く感じる。

※ガラスの天井(glass ceiling)とは、資質又は成果にかかわらず女性の組織内での昇進を妨げる見えないが打ち破れない障壁である。

※ M字カーブとは、女性の年齢階級別の労働力率を示す指標を表す語で、20歳代でピークに達し、その後、30歳代の出産・育児期に落ち込み、子育てが一段落した40歳代で再上昇する。これをグラフに表すと、アルファベットの「M」に似た曲線を描く傾向が見られることで名付けられた。日本や韓国で顕著で、欧米では見られない。
「2020」後―新しい日本の話をしよう
著者 河合雅司 急速な人口減少と少子高齢化。そこへコロナ禍という事態が発生した2020年の日本。「コロナ前」へは戻れない今、累計88万部のベストセラー『未来の年表』で日本の現状を解き明かし、未来への展望を提示した著者、河合雅司氏が改めて解析した「新しい日本」の姿とは? 1300円/講談社刊 ISBN 4065-19592-6