「女性は医療現場では無理」なのか

この頃の出来事は10年ほど前の話なので、この10年で雰囲気は相当変わったと思う。今はもう名刺が貰えないなんてことはあるはずもないだろうと予想するが、女性の出世の妨げとなるガラスの天井問題は多分まだあるし、出産とキャリアの両立がいかに難しいかを表す、M字カーブもいまだに顕著である。

また、就活時における男女差別は引き続き深刻な課題であると認識している。記憶に新しいのは2018年に明るみに出た医学部入学の男女差別だ。入学しても女性は体力的にも厳しいし、人生設計上の問題もあり、医者としてフル活用しにくいという理由から、大学医学部の入試で故意に女性入学者を不合格にしていた。文部科学省は10の私大の名前を挙げて調査・改正するように指示している。当時明るみになったときは大問題としてセンセーショナルに取り上げられたが、医療現場からは「現実問題として、夜間の当直など体力的にも女性には無理」「産休、育休に入られては現場は回らない」などの意見も多く、医療現場で女性自身も諦めてしまっているケースもあってこの社会の闇の深さを感じた。

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この手の「無理無理論」が出ると海外ではどうなんだろう? と調べてみることにしていて、「女性は医者の仕事は無理」という話は全くをもってナンセンスだと分かる。OECD諸国の医師の女性比率を見ると日本は25%以下で韓国を差し置いてダントツ最下位である。女性医師が半数を超える国もあり、フィンランド、オランダ、スペインなどのヨーロッパ勢が強い。イギリスもほぼ半々である(2017, OECD調べ) 。

もし、我が国の大学病院における医師という仕事が「女性には無理」だとしたら、そもそも男性にも無理無理な労働環境を強いてるのではないか? 主治医制度などを背景に、深刻な人手不足などが根本にあって、だからこそ、基本的な権利であるはずの「産休」すら許容出来ないほど、少人数のマンパワーをストレッチしてギリギリまで働かせているのではないか? そして、そこを変えるのではなく、まず女子学生を試験を「落としちゃえ」と考える大学の対応に驚愕する。女性にチャンスを与えないのがデフォルトにすらなっていると感じてしまう。そして、このニュースがつい最近の事というのにもあらためて驚く。

女性は確かに出産するときは職場から離れざるを得ない時がある。しかしそういう人は医師にはなれない環境があるのなら、そちらを修正する必要があるのではないか Photo by iStock