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# マイナンバー

10万円給付、申請しても「まだ振り込まれない人」が続出するワケ

IT後進国・ニッポン

やはり日本は遅れている

「マイナンバー」の導入から5年。全国的な普及が遅々として進まないようにも見えるが、コロナ禍においてその風向きが変わりそうだ。

政府は国民が開設するすべての預貯金口座情報とのひも付けを義務化する検討に入った。これは、「10万円給付」の特別定額給付金で、マイナンバーがほとんど機能せず、オンライン申請を取りやめにする自治体が出るなどしたためだ。

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普及にかかる費用や、個人情報保護について懸念を示す向きもある。だが、世界に目を向ければマイナンバーのような共通番号は当たり前のように導入されていて、先進国でいえば日本は非常に遅れている。

ちなみに、アメリカでは社会保障番号、カナダでは社会保険番号、韓国では住民登録番号、オーストラリア、イタリアでは納税者番号と、共通番号の名称は国によって異なる。

これらの国では、納税から預金口座の開設など、様々な場面で共通番号を使用している。アメリカに居住する場合は、地方事務所に行き、一刻も早く社会保障番号を取得しないといけない。なにしろ、社会保障番号がなければ、マトモに生活できない。

 

米国では銀行口座、自動車保険、自動車免許、クレジットカードなど、あらゆる生活基盤の取得のためには社会保障番号が必要なのだ。社会保障番号によって、生活に不可欠なインフラがつながっているかたちだ。

アメリカでも、日本のように一律ではないが、国民に給付金が支払われている。そして、社会保障番号にリンクされた銀行口座があるために、実施決定から2週間で政府からの口座への振り込みが行われた。

それに引き換え、日本はどうだろうか。先にも述べたようにオンライン申請はほぼ使えず、地方自治体が個人住所に申請書類を郵送し、それの返送を地方自治体で審査し、銀行口座に振り込むという、なんとも「とろこい」方式だ。

実施決定から2ヵ月以上経っても、給付金どころか申請書類すら届いていないという人もいるのではないか。スピード感の差は歴然である。

いろいろな意見はあるかもしれないが、日本でマイナンバー制の導入が遅れたことにより、給付金の配付が遅れたのは間違いない。政府のIT後進国ぶりを露呈する結果となってしまった。

お金の流れを政府が把握できることは、メリットもある。マイナンバーと金融機関口座のリンクにより、税務調査が格段に楽になる。複数の金融機関の口座を持っていても、マイナンバーがあれば税務申告の際に各金融機関経由で資金の流れがすぐにわかる。税務の効率化や、公平な課税の実現にも近づけるわけだ。

 

これは、財務省にとってもいいことだ。今は、「クロヨン」といい、サラリーマン、自営業、農業者の所得捕捉はそれぞれ9割、6割、4割と言われ、不公平感がある。これが解消されれば、税収も増える可能性がある。

今年4月の一般会計税収は、確定申告の期限延長などを受け、前年比約3割減だったという。やむを得ないことだが、財務省はどんなきっかけで財政難を言ってくるかわからない。財務省も、「増税」に熱心になるより、不公平是正で「税収」を増やすべきだ。

『週刊現代』2020年6月13・20日号より

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