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宇宙誕生後38万年も鳴り響いていた「ビッグバンが奏でる音楽」とは

51オクターブ下の「超」重低音

音楽家のインスピレーションを刺激する"宇宙"

なぜか宇宙と音楽は相性が良いようだ。

例えば、イギリスの作曲家グスタフ・ホルストには有名な組曲『惑星(The Planets)』がある。中でも第四番目の『木星(Jupiter, the Bringer of Jollity)』、その中間部はイギリスの愛国歌であり、日本でも平原 綾香のデビュー曲『Jupiter』として知られる有名な旋律だ。

ちなみに、この組曲には当時まだ発見されていなかった冥王星は当然入っていないのだが、2006年に国際天文連合によって冥王星を準惑星とすることが決定されたことから、再び地球を除く太陽系の惑星を全て網羅することとなった。

その惑星の1つである天王星を発見したウイリアム・ハーシェルは、生国のドイツでは音楽家であり、イギリスに渡ってからしばらくして天文学者となった人である。音楽家としてはヨーゼフ・ハイドンと同時代で、作曲も残されている。YouTubeでも英語(William Herschel)で検索すると、ここにリンクした交響曲など、何曲か見つけることができる。

  宮廷音楽家も務めたハーシェルの筆による「交響曲第14番ニ長調」

ワルツ王ヨハンの弟ヨーゼフ・シュトラウスには、『天体の音楽』というウィンナ・ワルツがあり、映画『2001年宇宙の旅』ではヨハン・シュトラウスの『美しく青きドナウ』が、リヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』などとともに効果的に使われている。

ひるがえって我が日本でも、宇宙に関する曲が非常に多く親しまれてきた。『銀河鉄道の夜』にも登場する『星めぐりの歌』は素朴な佳曲だが、宮沢賢治自身の作詞作曲だ。

  「星めぐりの歌」

比較的近年に目を向けても、谷村新司の『昴』、中島みゆきの『地上の星』、BUMP OF CHIKENの『天体観測』など枚挙にいとまがない。合唱曲として親しまれているアクアマリンの『COSMOS』は「スター・ウィーク〜星空に親しむ週間〜」のテーマソングにも選ばれている。

なぜか、宇宙という存在は、音楽家のインスピレーションを刺激するようだ。

古代ギリシャから未来へと続く、宇宙と音楽の関係

音楽と宇宙の関係で最も昔に遡ることができるのは、ピタゴラスだろう。紀元前6世紀に活躍した秘密教団の主宰者だが、音程について物理学的な解明をし、また、惑星が楽音に対応して宇宙にハーモニーを奏でているという「天球の音楽」を提唱したという。

【写真】ピタゴラス像
  ローマのピカトリーノ博物館に収蔵されているピタゴラス像 photo by gettyimages
【写真】古代ローマの音楽書に描かれたピタゴラス
  古代ローマの哲学者ボエティウスの『音楽綱要』(De institutione musica)に描かれている重要な音楽論者。左上はボエティウス本人の隣がピタゴラス、下はプラトン(左)と「天球の音楽」を通じて音楽と宇宙の関係についての考察を残した数学者・ニコマコス photo by gettyimages

この音楽は大きな響きを持っているが、常に鳴り続け、人間の耳には気づかれないとされる。プラトンやアウグスティヌス、さらには惑星の運動の法則を見出したヨハネス・ケプラーに到るまで、西洋においてこの考えは連綿と受け継がれていった。

では、この天球の音楽は、今となっては荒唐無稽な代物なのだろうか。