伝える前に自分がきちんと知る必要がある

その前に始めたことは、私自身が勉強をすること。アメリカの歴史は一通り勉強してきましたが、その教育の中では、黒人の方が世の中に与えてくれた変化などをあまり深く教えてくれませんでした。例えば奴隷制度の話題は勉強しますが、あれはやってはいけなかったね……と過去のこととして簡単に済まされていましたし、マーチン・ルーサー・キング牧師ややローザ・パークスなどが先頭に立ったデモについても、詳しい理由などは教わりませんでした。

-AD-

大人になって改めて勉強し直すと新しい発見がいくつもあり、今までの自分の知識の無さにガッカリしています。たとえば、キング牧師はピースフルな行進と演説で反差別社会を目指していたのだと学校では教わってきました。でもアンフェアで差別的な法律については積極的に破ることを推薦していたりと、暴力は否定しながらも、ただ穏やかなだけではありませんでした。キング牧師本人も何度も逮捕されています。歴史を変えた人物の1人として称賛されていますし、彼の業績はとても大きなことですが、きれいごとだけでは大きな変革ができなかったのも事実です。問題は一面だけで見ることはできません。

牧師の家に生まれ、1954年に牧師となったマーチン・ルーサー・キングJr.。1955年、ローザ・パークスが白人にバスの席を譲らなかったことで逮捕された事件を機に、モンゴメリー・バス・ボイコット事件の先頭に立ち、そこから人種差別撤廃運動のリーダーとなった。「非暴力主義」を掲げ、1964年にはノーベル平和賞を受賞。同時期により強行なやり方で差別撤廃を訴えていたマルコムXとは対立しているとも言われたが、キング牧師を支持しようと面談を企画していた時にマルコムXが暗殺されたという。本人も1968年4月4日、遊説に来ていたテネシー州で暗殺された Photo by Getty Images

今回の事件の前にもアメリカでは何度もデモがありました。私は起こるたびに大変だとは思いつつも、自分から何かアクションを起こそうとはしていませんでした。SNSがかなり発展し、メディアで切り抜かれているもの以外の、差別をされてきた方々の言葉などにも目を向けてみると、そこには本当に未知の世界が広がっていました。様々なバックグラウンドの方の発言を読みながら、やっと事の重大さに気がつけました。今まで自分が関心を持たなかったことを恥ずかしく思いました。