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溺れるような苦しみ…急増する肺の生活習慣病「COPD」の恐ろしい症状

男性の死因で第8位に

慢性閉そく性肺疾患

「59歳のとき、突然、異変に襲われました。地下鉄の駅のホームから階段で地上に出ようとしたところ、息が苦しくて、休憩なしでは階段を上り切れなかったんです。それまでは全く経験したことのない状態でした。

その後も症状は進み、少し動くだけで苦しくなり、満員電車で立つのもつらくなりました。電車で座れないと、降りてからが大変。呼吸が整わず、息が吸えない。息が吸えないから動けない。階段の端に寄って、手すりを使って休み休みでないと、地上まで登れないようになってしまいました」

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こう振り返るのは、自身も慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者であり、患者会「板橋サンソ友の会」の代表を務める内田幸男さん(80歳)だ。

いま、60過ぎの人を中心に、COPDが急増している。内田さんのような愛煙家や、大気汚染によって汚れた空気を吸い続けることで発症。長年の習慣や環境の蓄積が原因となっている点で、まさに高血圧や糖尿病と並ぶ、「肺の生活習慣病」と呼ばれる。

 

死者数は年々、右肩上がりになり、年間1万9000人。いまや男性の死因第8位になっている('18年人口動態統計)。WHOの発表によると、'16年の世界の死因順位で、COPDは心疾患、脳卒中に次いで多かった。死者数で見れば、がんを抜くほど、メジャーな病気なのだ。

呼吸器内科医の宮崎雅樹氏が解説する。

「COPDは、肺が実年齢以上に老化したために引き起こされる病気と考えられています。喫煙などが原因で肺の組織が壊されて、酸素と二酸化炭素の交換ができなくなって、呼吸がしにくくなるのです。日本の患者の平均年齢は67歳前後で、国内におよそ500万人の患者がいるとされていますが、実際に受診している人は26万人と、わずか5%程度です」