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コロナ禍で改めてわかった「肺の病気」がいちばん怖いという事実

肺炎死亡者の98%は65歳以上

息ができなくて、酸素を求めながら、もがき死ぬほど苦しい死に方はない。「自分はきっと大丈夫」、そう思っていると、あっと言う間に死に繋がる。

本人も医者も気づかない

厚生労働省が'19年に公表した「'18年人口動態統計月報年計」によれば、いま、日本では年間約9万5000人もの人が肺炎で亡くなっている。しかも、その97・8%を65歳以上が占めている。

コロナ禍の影響で、改めて肺炎が「死にいたる病」として注目されている。肺に侵入したウイルスを排除しようとした免疫が作用し、肺に炎症が起き、激しいせき込みなどが生じるのだ。実際、コロナのようなウイルスが原因となる肺炎は恐ろしい。だが、現実にはより多くの患者が細菌感染による肺炎や、慢性的な肺の衰えによる疾患で命を落としている。

確実なのは、肺の病によって命を落とす人の大半が高齢者だということ。なぜだろうか。

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大きな理由の一つは、高齢者の肺炎は、傍から見て、発症しているとわかりにくく、本人も家族も気づかない、ましてや医者も見逃してしまうことにある。

洛和会丸太町病院救急・総合診療科部長・上田剛士氏は、「まさに、つい先日診た高齢の患者さんが、そうしたパターンでした」と振り返る。

 

「その方は2週間ほど微熱が続き、ごはんもほとんど手をつけない状態だったそうです。風邪にしては長いし、体調が悪化しているから、何かの病気かもしれないと思って、近くの病院を訪れた。その時点では本人やご家族は肺炎だとは思っていなかったでしょう。

さらに高齢者の肺炎の難しいところは、レントゲンを撮ってもわかりにくいことにあります。若い人のように、肺がもともときれいではないので、よほどレントゲン写真を見慣れている先生でない限り、肺炎とは診断できないことも多いのです」