「男性が女性をエスコート」の文化

では、デートのときはどうか。男女平等が叫ばれているこのご時世とはいえ、「男性が女性をエスコートする」という風潮は根強く残っている。日本より、むしろヨーロッパでのほうが露骨だ。

「男女は対等の関係であるのが良い」とされているなかでも、初デートのホストは男性側という認識は、いまだに強い。

椅子を引いたりコートを脱がせてあげたり……まではしないにせよ、ドアを開けたり段差では手を差し伸べたりソファ席を譲ったりするのは、「男性が当然すべきこと」であり、そういうことがさらっとできる男性が「かっこいい」とされる。そしてスマートにエスコートされるのが、「女性の魅力」なのだ。

そういう状況において、「女のために男がドアを開けるのはおかしい」というのは、たしかに男女平等かもしれないが、少なくともロマンチックではない。それは会計においても同じで、会計をさっと済ませるほうがデートがスマートになる。

ジェンダーギャップとロマンチックはまた別の話 Photo by iStock
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ドイツ語で「初デート 支払い」とググってみたり、身近な人にも聞いたりしてみたが、「初デートの食事は男がおごる」という答えがほぼ100%だった。そこはやはり「エスコート」の範囲として認識されているようだ。

しかし、もし女性が「自分で払う」と言ったら、それは遠慮ではなくポリシーによるところが大きいので、個別会計にするとのこと。そのあたりは「男性がエスコートするロマンチックデート」と、「対等なパートナーとしての食事」、どちらを望むかによるのだろう。

使う時に思う存分使うために

たとえば夏祭りで、わたしがたこ焼きを買いに行き、いっしょにいた男性が焼きそばを買いに行き、それぞれ持ち寄って食べるとする。そのときわざわざ合計金額を割り勘することはないし、「おごってくれないなんてケチ!」と思うこともない。

自動販売機でそれぞれ飲み物を買うときも、深く考えずに自分が飲みたいものを選んで、自分で100円玉を入れるだろう。

ドイツにおける飲食代の支払いはそれと同じで、「自分が頼んで飲み食いしたぶんだけ払う」というだけのことだ。倹約家だから他の人のぶんを払わない、というわけではない。その証拠に、自分がホスト役になれば、たいていの人は快くおごってくれる。

もちろん個人差はあるし、そのときの状況、お互いの社会的立場、年齢などによっても異なる。ただ、「ドイツ人はケチだからおごらない。つねに割り勘」というのは、ちょっと誤解を生む気がする。

まぁ、道端に「ご自由にどうぞ」と本や調理器具を並べればすぐになくなるし、家族内でPCや家電を譲りあうのもふつうだし、お金の話大好きな倹約家が多いのは事実だ。ドイツ人もそのイメージを知っていて、みずからネタにしているくらいである。

とはいえ、以前に書いたとおり、ドイツ人は旅行大好きでバカンスにはかなりの予算を取るし、ホスト役になれば盛大におもてなししてくれる。ふだんは自分が使ったぶんだけ支払い基本倹約するが、ここぞというときにはドーンとお金を使う人が多いということなのだ。