食べたい人が食べたい分だけ注文

日本の飲食店、とくに居酒屋では、フライドポテトや唐揚げといったシェアする前提のメニューが多い。テーブルの上に事前に取り分け皿が用意されていることもあるくらいだ。わたしたちは当然のように、「サラダ分ける?」と相談したり、「デザートどうする?」と相手の意向を尋ねたりする。

一方ドイツでは、「自分はまだおなか空いてないから食事の注文はあとにする」「家で食べてきたからワインだけで」「自分はデザートを食べる」というように、自分のペースで好きな量を食べることに罪悪感を感じる必要はあまりない。

そういう考えだから、「自分が頼んだものに対して支払う」という、シンプルな会計が成り立つのだ。

ちなみに日本人とドイツ人混合の誕生日会で「ピザを頼もう」という話になったとき、日本人はみんなでシェアする前提で「なにを注文するか」と話し合いはじめたが、ドイツ人は「俺はいらない」「俺はパスタがいい」と個人で注文することを前提に考えていた。そういうちがいである。

シェアすることが前提なのと、シェアしないことが前提なのと…Photo by iStock
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「でも個別会計なんてしたら、すごく時間がかかるんじゃない?」と思うかもしれない。そりゃ当然、時間はかかる。めちゃくちゃ時間かかる。でもみんな、「そういうものだ」と思っているから、10人それぞれが会計して20分かかろうとも、あんまり気にしない。

各自が店員と個別会計するので、日本のように仲間内で「あと50円ある?」「細かいのないから1000円出すよ」なんてやるより、むしろ気楽ともいえる。

もちろん、そのあいだほかの客はそのテーブルの会計が終わるのを待たないといけない。でも「そういうもの」なので、みんな自分の順番をおとなしく待つ。まぁ、文句を言ったところで店員は急がないしね。

わたしは大の偏食家だから日本的なシェアする食事で困ることが多く、ドイツ流のほうが正直助かる。でも「これおいしいね」「一口ちょうだい」と食の楽しみを共有して、「あのとき一緒にこれ食べたよね」と同じ思い出を持つのも好きだ。だからこれは「どっちがいい」という話ではなく、食事を共にする感覚や支払いへのスタンスがちがう、というだけである。