「ドイツ人はケチ。デートでもおごらず、つねに割り勘」――その真相を、22歳でドイツに移住、7年暮しているライターの雨宮紫苑さんが分析。「ケチ」というのは一体どういうことなのだろうか。

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ドイツ人は割り勘なんてしない?

「ドイツ人はケチ。デートでもおごらず、つねに割り勘」

こんなセリフを聞いたことがある人も多いのではないだろうか。「ドイツ人=ケチ」、よくいえば「倹約家」というのは広く知られていて、実際にドイツに住んでからもそのイメージは変わっていない。

ただ、「割り勘だからケチ」というのはちょっと誤解がある。というのも、ドイツでは「割り勘」なんてしないからだ。

また、「ドイツ人はどんな状況下においても絶対他人のぶんは支払わないのか」といえば、当然そんなことはない。日本のように「男性や年上の人がお金を払って当然」という価値観はないけれど、ドイツにだって体裁やマナーはある。

いくら倹約家のドイツ人といったって、「ここぞ」というときにケチるのはスマートじゃないし、正直格好良くない。

というわけで、今回は「ドイツ人はケチだからつねに割り勘」という誤解について、実際のところをお伝えしていきたい。

割り勘ではなく「個別会計」

そもそも、ドイツ人との食事で割り勘なんてしたことがない。

「割り勘」とは、合計金額を人数で割り、みんな同じ金額を払うということだ。その定義に従えば、ドイツ人は割り勘なんてしない。「個別会計」するからだ。

スタバやマクドナルドのようなカウンター形式をのぞき、ドイツの飲食店のほとんどはテーブル会計である。店員がレシートと会計用の財布をもってテーブルにやってきて、客は席についたまま支払うのだ。

たとえばわたしがオレンジジュースとマルゲリータピザ、あなたがコーラとカルボナーラを注文したとする。会計時、わたしは店員に「オレンジジュースとマルゲリータ」と言い、店員がその場で計算して「13,30ユーロ」と金額を提示。チップを含めて15ユーロ払ったあと、あなたは「コーラとカルボナーラ」と言い、同じように支払う。これが、一般的な飲食店での支払い方だ。

自分が頼んだ分を自分で支払う。たしかにランチやカフェでは日本でもそうすることが多いが、夕食の飲み会では… Photo by iStock

さて、これは日本人がイメージする「割り勘」なんだろうか?

また、バーでは、それぞれのコースターに店員が杯数や金額を書き加えていくことが多い。「ビールをもう1杯」と言えば店員がコースターにそれをメモして、会計時は各自のコースターを元に金額を計算するのだ。これもまた、「割り勘」というより「個別会計」といったほうが正しいだろう。

ドイツ人はケチだから割り勘するのではない。ただ、自分が注文したものを、自分で支払っているだけにすぎないのだ。