無意識のうちに子供が
「人質化」してしまう

私は、保育園や幼稚園の父母会役員の経験もあるので、未就学児の保護者アンケートよりも、小学校以降の保護者に向けたアンケートの方が、より「声を上げない層」が多くなるような印象を持ちました。

これは推測ですが、小学校以降は、子供と親の距離が離れていきます。つまり、小学生になると、自分で登校し自分で帰ってくるようになり、先生と保護者とのコミュニケーション量は激減します。その結果、学校で何が起きたかを親が知ることがなかなか難しくなっていくわけです。そのような状況の中で、親が何かに声を上げることによって、自分が知ることのできない学校内での子供の生活に、デメリットが生じることにつながるのではないかというリスクを感じる可能性がある。分かりやすくいうと、学校に「モンスター・ペアレンツ」と思われてしまうと、子供に不利益が生じると考えるということです。

まるで、学校という組織・環境に、愛する子どもを人質に取られているような構造ですね。この心理はすごく合理性が高いと感じますから、「沈黙する保護者」が多いというのも仕方のないことかもしれないです。

しかし一方で、不満を感じていても声を上げないという保護者の行動が、もしかすると回り回って「日本の公教育の進化を鈍らせる力学」に繋がってしまっていた可能性も感じるのです。子どもを守りたいと思う愛の気持ちが、子どもの教育環境を悪化(というか発展を阻害)することにつながるというのは、なんとも残念で悲しい顛末だと思います。

子どもの受験で内申が重要だから、何も意見ができないという保護者も少なくない。また、ただただひどく先生を責め立てる「モンスターペアレンツ」が存在するのも事実だ。それが学校と保護者であっても、店と客であっても、親と子であっても、「意見を言う」「正しいと思うことを伝える」ことは「責め立てる」ことではないと改めて認識する必要があるし、意見を言うことに罪悪感を抱かせる環境にしないことも大切だ Photo by iStock