23区内公立小の進捗状況を可視化した理由

「懸念されている個人情報って、具体的には何ですか? 世の中ではオンラインバンキングなども当たり前になっているのに、ICTで解決できない個人情報の問題って、一体何なんですか?」と迫ったところで、現場の先生たちはそもそもICTに明るくないですから、沈黙させてしまうだけです。現場の先生のみならず、校長や教育委員会の方ですら、このような具体的な質問をしていくと沈黙されてしまいます。

教育現場でICTを専門的に学ぶ環境は今までなかった。現場の先生方にすべてお願いするのは酷なことだ Photo by iStock

ICTに明るくない人を相手に、できない理由を詰めていくのは非効率だと感じたので、実際に諸々のハードルを乗り越えて実現できている自治体の具体的な事例を見せることで、免罪符によって思考停止になっている方々を開眼させるのではないかと目論見ました。

それで始めたのが、『23区公立小学校ICT進捗状況★草の根ウォッチ』だったんです。他区の実例があり、タブレット等端末の予算も国から出ることが決まっている(1台4万円ではありますが)。それでもできないのであれば、その原因は「やる気」と「覚悟」だけです。この取り組みが、自治体の教育をより良い方向に進化させていくために、良い意味でのプレッシャーになっていけばと考えました。

また、表でわかりやすく可視化することで、学校や教育委員会などの教育提供側の方だけでなく、教育の受け手である保護者の方も、自分たちの現在位置が客観的に分かります。目標達成の思考術であるコーチングの基本中の基本は、「自分の現在位置の把握」ですから、これは王道のアプローチ。でも、可視化という手段を選択したのは、私がもともとリクルートのトップマーケターで、こういったマーケティング・コミュニケーションに長けていたからです。