感染現場で「即戦力」とされた
研修医たちの実態

フランスでは、経験のない研修医にも関わらずいきなり即戦力として新型コロナの現場で働いた学生たちが、「こんなはずではなかった」と辛い胸のうちを吐露する特集も組まれていた。折口さんも研修医としての勤務開始からわずか4ヵ月で感染現場を経験したのだが、どのような心境だったのだろうか。

「救急外来は普段から体力的にも厳しい現場で、1日200名が外来に訪れる日は患者さんの待ち時間が8時間にのぼることもあります。当直医として勤務する場合でも、夕方6時から朝6時までの夜勤中は寝る間もないほどですが、新型コロナ対応の時期は外来患者が100名ほどだったため、忙しさの面では実は緩和されていました」

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研修医にとっての救急医療現場とは、様々な症状への対処を場面ごとに学習することができる場であるが、コロナ期間中にはほとんどの患者が同じ症状で訪れ、同じ検査、同じ処置を施し続けなければならなかった。

「治療薬もなく回復は患者によるところが大きかったため、酸素治療や痛みの緩和治療などはあるものの、大きいところでは何もできないという点にはフラストレーションを抱きました。
その一方で、実際にコロナ患者のダメージを受けた胸部画像をたくさん目にしたり、既往歴のない若者でも重症化してしまったりする場面を目の当たりにしていたため、私自身も感染の恐怖を常に感じていました

3月半ば、パリの救急病院での写真。折口さんはこのような日常の中にずっといた Photo by Elyxandro Cegarra/NurPhoto via Getty Images