MMT理論? 馬鹿げた理屈が出てきたら、ともかくバブルに警戒せよ

ニューエコノミーとITバブルにそっくり
大原 浩 プロフィール

ニューエコノミー論の後、ITバブルが崩壊した

この「ニューエコノミー論」はITバブルの時代に生まれ、ITバブル崩壊とともに消えていった。

もちろん、我々は20年以上たって「ニューエコノミー論」が馬鹿げた「たわごと」であることがよくわかる。しかし、当時でもトヨタのカンバン方式を実践し「現場で在庫管理実践」していた人々は、「『ニューエコノミー論』が学者の頭の中だけで考えた単なる『机上の空論』である」ことが直ぐにわかったはずである。

現場の在庫管理は、コンピューターソフトを組めばボタン1つで管理できるような単純なものではい。もちろんITの進化によって在庫管理は格段に進化したが、4月17日の記事「マスク不足の真犯人は誰だ! 中国共産党政権の火事場泥棒を許すな」で述べたように、在庫(管理)の混乱は現在でも起こる。

突然登場した「MMT理論」が、私には「ニューエコノミー論」のデジャヴ―のように思える。

確かに「MMT理論」推進者が言うように、無限に輪転機でお札を刷ったり、金融機関の日銀当座の残高を増やすことは「理論的に可能」である。しかし、それはやはり「机上の空論」でしかないのだ。

「貨幣の価値」というものは「みんながお金としての価値がある」という「幻想」を共有しているから存在する。つまり「共同幻想」に価値があるのであって、印刷コスト20円ほどの1万円札や、コンピュータ上を移動する電気信号そのものに価値があるわけではない。

そして、その共同幻想はもろく崩れやすい。一般の人々は「政府の経済政策」や「立派な学者のご高説」を理解して「幻想」を持っているのではない。「肌感覚」でお金の価値を理解している。

だから、いくら立派な理論で飾り立てても、「マネーの供給量が増えてお金の価値が低下していること」はいずれ理解する(しばらくは政府や立派な学者に騙されるかもしれないが……)。

その時が明日なのか、50年後はわからないが、米国大統領エイブラハム・リンカーンは「1人の人を永遠にだますことや、すべての人を一時的にだますことはできるが、すべての人たちを常にだますことはできない」と述べている。

 

狐の魔法で、一時的に木の葉をお金だと思わせることはできても、永遠にそれを続けることはできないことは、金融(市場)の現場を経験すれば容易にわかる。

「ニューエコノミー論」同様、現場を知らない人々の「机上の空論」は危ういのだ。