親は「大人」でも「教えるプロ」ではない

勉強というものが、子どもにとってゲームやyoutubeと同等に(楽しい&いくらでもやり続けたい)ものであれば話は別ですが、その真逆に位置する(やりたくないもの)であることが多いわけなので、なおさら親がそれをやらせるというのは大変だと思います。

また、親は確かに「大人」ではありますが、「教えるプロ」ではないので、教え方が分からないということもあると思います。子どもから、「どうしてこうなるの?」と聞かれても、子どもが腹落ちできるような説明ができません。特に、自分自身がそれを学んだときに疑問を持たなかったことについては、説明しようとしてもできないのです。「空気を初めて吸った時、どうやってできるようになったの?」と聞かれても答えられないのと同じだと思います。

でも、それが今や自分にとって当たり前のことであれば、「こんな当たり前なことも分からないのか」と感じてしまうだろうし、説明がうまくできない自分自身への苛立ちもあり、「だからぁー!!!こうなの!文句言わずにやりなさい!」的な発言につながってしまうことがある。そんな教え方をされたら、子どもの方だって楽しくはないでしょう。

かくして、「親が子どもに勉強を教えようとすると、親子関係を悪化させ、子どもは勉強嫌いになっていく」という、残念な方程式が成立してしまうのではないかと分析しています。

「小学校をやめて保育園に戻ります」

私の娘は、『保護者へ丸投げ型・時間割ベースド家庭学習(オール紙バージョン)』が始まった2日目に、「こんなつまらないことを無理やりやらされるのが小学校だっていうなら、私は小学校なんて嫌いだ。行きたくない。小学校をやめて保育園に戻ります」と言ったんです。その時、本当にハッとしまして、このやり方では、「勉強嫌い」「学校嫌い」を作ってしまうリスクを把握しました。

「本当にそうだな。娘の言う通りだな」と感じたので、その時じっくり考えました。娘はその時、まだ小学生にはなれていませんでした。3月に保育園を卒業してから、1回に学校に通うこともなく、自宅でロングバケーションを楽しんでいたのです。

同じ家の中に未就学児の弟もいるのに、5月11日を境に自分だけが急にやりたくもない平仮名のなぞり練習を強いられる。娘はすでに平仮名がかけますから(下手ですけど)、今やりたい他の遊びを中断してまで平仮名のなぞりをやらされることに、疑問と憤りを感じたようです。

弟は1日中遊んでいて良いのに、なぜ私だけがこんなことをしなきゃいけないの?」と娘に聞かれて、私は絶句です。「6歳だから」ということ以外に理由は見当たらない。日本は、6歳の4月になったら小学生になり、いわゆる義務教育の「お勉強」が始まりますが、なぜ義務教育が存在するのか? 義務って言われてるくらいだから、基本的にはやらないっていう選択肢はないと思うが、それは何故なのか? 自分自身に問いましたが、答えが出てきません。

「なぜ学ぶのか?」という学びに向かうためのセットアップなしに、突然、平仮名のなぞりや計算式を解かせるのは、何かの調教のような気すらしました。こんなことを強要したら、学校や勉強が嫌いになって当然です。

これは、「学校というものがどんなところなのか」、「勉強とはどういうものなのか」を経験的に知っている新・小学2年生以上の子どもにとっては問題にはならないことかもしれません。しかし、コロナ元年の新・小学1年生はちょっと特別な存在で、5月の時点ではまだ「小学生になれていない小学生」なのです。

2年生以上の子どもだって難しい…Photo by iStock