アメリカ版「マイナンバー制度」の明と暗…国に収入を把握される怖さ

日本国民よ、同じ轍を踏むな
笹野 大輔 プロフィール

税金の支払額が変わる

アメリカでのSSNや、日本で銀行口座の紐付けが始まるマイナンバーは、国民の収入を把握できることだが、別の言い方をすれば、国が税の取りはぐれをなくすためにある。そのため「節税」に汗をかいている日本の中小企業は直撃するだろう。

副業を禁止されている公務員はマイナンバーがあってもなくてもあまり関係がない。副業をしていないサラリーマンも関係ないが、昼は会社員、夜はアルバイトやキャバレーなど夜の店で働いている人は、夜の収入をほとんどの人が確定申告の申請をしていないので、マイナンバーが義務化されれば税金の支払額が変わる。アメリカでは不法移民や労働ビザがない人であっても働く場合に雇用主からSSNの提出を求められる。日本でもアルバイトであっても働き先へのマイナンバー提出が義務化されれば同じことになるだろう。

 

また、飲食店や美容室の経営者といった、どれくらい収入があるか正確に把握しづらい仕事に関しても、もし売り上げ現金を銀行に入れると、マイナンバーが紐付けされた銀行口座を見ればすぐに収支がわかるようになる。例えば、パン屋さんの経営者がクロワッサンを1日に100個売ったのか、120個なのかは銀行口座を見ればわかるようになる、ということだ。悪く書けば、現在であればクロワッサンが1日に120個売れていたとしても1日に100個しか売れなかったと申告すれば誰もわからない。

ニューヨーク市内で売られているクロワッサン

ちなみにニューヨークではクロワッサンは1個4ドル(約500円)するところはざらだ。ラーメンでも1杯1500円くらいはする。アメリカのように100円くらいのものでもクレジットカードを使い、銀行口座による収入の把握が容易な社会になると、それくらいの金額でもおかしくはないのだろう。それもあってか、日本のように雑居ビルの上階まで小さなお店がひしめきあって営業しているところはニューヨークにもアメリカのどこの都市にもない。お店は総じて資金力のあるチェーン店が多くなり、チェーン店でなければ価格が高めの店か、現金のみのビジネスをしている。