アメリカ版「マイナンバー制度」の明と暗…国に収入を把握される怖さ

日本国民よ、同じ轍を踏むな
笹野 大輔 プロフィール

人種による貧困問題

前回、アメリカにおける黒人抗議デモに、「システマチック・レイシズム(システム化された人種差別)」がある、と書いた。そして、今回の黒人抗議デモが国に対して具体的な要求がないことからわかるように、一人の黒人の殺害に対してだけ抗議しているわけではない。その根底には人種による貧困問題が横たわっているのだ。

新型コロナの自粛中においてもエッセンシャルワーカーは、黒人と南米系が多く、ニューヨークの地下鉄で白人を見ることは少なくなった。新型コロナ拡大時にはスーパーのレジ打ちもそうだが、介護士や病院スタッフなども黒人や南米系が多かった。言うなれば、彼らは命がけの安い労働力になるようシステム化されているのだ。

タイムズスクエアで6月7日に行われた黒人殺害による抗議デモ

ニューヨークでの日常生活では、人種で差別されることはほとんどないといえる。筆者自身の経験からしても肌の色による差別の経験は一度もない。ニューヨークは外国人が多い街ということもあるが、見た目による差別はこれ以上なくならないだろう。差別主義者は一定数いるが、今後、増えもしないが減りもしないといった感じだ。むしろ映画やドラマ、広告のモデルなどでもアメリカの黒人の人口は12.3%しかいないのに、黒人が出る割合は多いくらいだろう。

 

差別に繋がっている貧困が残り続けている原因は、アメリカのSSN、日本でいうところのマイナンバーが果たしている役割が大きい。SSNによって貧困層は分別されているからだ。もちろん、逆に貧困層への優遇措置はある。だが、それを判断するのも国民総背番号のようなSSNでもある。善悪両面があることが国民への番号制度ともいえるが、日本でのマイナンバー制度への懸念は「番号が悪用される恐れがある」といった内容ばかりだ。アメリカでSSN(番号)が悪用される場合もあるが「悪用があっても確認しなかった業者が悪い」というケースがほとんどなので、悪用された側の個人負担はない。