東京アラートも解除され、東京でも6月22日から通常投稿にする学校が増える。教育現場ではいかにして安心安全に学校生活を送れるかが検討されているが、同時に暑くなる中でのマスク着用も気になるところだ。また、通りすがりにマスクをしていないことで大人に怒られた子どもの話が報じられていたが、正義が暴走したような自粛警察がなぜ出現するのだろうか。

ジャーナリストの島沢優子さんによる連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」の今回のテーマは、「子どもの義務と権利」。「ルール的なこと」に対し、状況を考えずにただ「守っているか否か」を糾弾する自粛警察には日本の教育のやり方が大きく関係しているのはないだろうか――。

島沢優子さん連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」今までの記事はこちら

「先生、○○君、マスク着けていません!」

私が住む首都圏では東京アラートが解除され、本格的に「新しい日常」がスタートする。
そんななか、ある公立小学校の先生はこんな不安を口にする。
マスクを嫌がる子が何人かいて、その子たちがいじめられないか心配です

8日からの週。東京は30度を超える真夏日もあり、子どもたちは汗をふきふき授業を受けた。東京都の公立小学校は教室のエアコン設置率100%だが、廊下に出たとたんに熱気に包まれる。トイレに行く際にマスクをつけずに行く子どももいる。マスクの中は蒸れて暑い。もともとアトピーだったり、皮膚が弱かったりすると、口のまわりが痒くなる。

こういうスタイルが教育現場のスタンダードになっている。しかしちょっとしたときにマスクを着けていない場合、体育で暑くて危険な時、皮膚の疾患を抱えている場合。「なにがなんでもマスク」とはいえない状況も多く出てくるはずだ(写真の人物は本文と関係ありません) Photo by iStock

外したまま授業を受けている子どもに向かって、他の子が「〇〇君、マスク着けていません!」と指さしたり。その姿は、さながらコロナ禍で問題になった自粛ポリスのようだ。
「今のところ、いじめがある気配はありませんが、どう対応したらいいんでしょうか?」

なぜ着けられないのか聞いてみたら? と促せばいい。それぞれ事情があることを知る。多様性の学びにもなるよね。
そんな話をしたが、マスクをつけることを「義務付けられている」いま、子どもの社会で各々の事情を理解し合う難しさは横たわる。先生自身も「マスクは着けるべき」と思っているのだろうから。

これが大人になると、ポリスっぷりは、より陰湿になる。工事現場でマスクを外していた作業員がいたと「通報」した人がいた。この暑さで、すぐ近くに人がいなければ別に外してもいいではないか。だが、通報した人からすれば、マスクをつけるのは義務であり、つけない人を見つけたら指摘するのが「正義」なのだろう。