画家ドービニーの家はどうやって作られたか

風景画の大作を数多く残した巨匠、ドービニーの家は、パリの北西オーヴェール・シュル・オワーズの町にあった。オワーズ川ほとりのオーヴェールの町を有名にしているのは、画家のゴッホである。弟のテオは兄ゴッホの才能を疑わなかったが、ついにゴッホの作品は、生前に日の目を見ることがなかった。貧困と精神異常のうちに夭折したゴッホ終焉の地が、オーヴェール・シュル・オワーズの町だった。

ドービニーはオワーズの町の風景を多く描いた Photo by Heritage Art/Heritage Images via Getty Image

ドービニーがこの町にアトリエを構えたのは、ゴッホよりも早い。画壇でのドービニーは、後の印象派の画家たちに多大な影響を与えたといわれて評価が高い。ゴッホは印象派の仲間たちと一線を画しながらも、同時代に生きている。ドービニーは印象派たちの先駆者だった。

ところで、スチュワードという空のサービス係をしているアントワーヌと、画家ドービニーの接点はなんなのだろうか。

郊外の一軒家を不動産屋に見せてもらってからのアントワーヌには、ある夢が芽生えていた。窓の大きさといい、広さといい、アントワーヌの将来の家は、オーヴェール・シュル・オワーズでみたドービニーの家にとてもよく似ていたからだ。そしてなによりも彼を感動させたのが現在の館長でドービニーの曾孫にあたるラスカン・ドービニー氏から聞いた話だった。家のサロンと娘セシルの子供部屋を、ドービニー自身が仲間の画家たちに手伝ってもらいリフォームしたという話だった。そこで自分も同僚に協力してもらい、古い家を買ってドービニーの家のようにリフォームしようと、アントワーヌは心に決めたのだった。

ゴッホが描いたドービニーの庭 Photo by Quim Llenas/Getty Images