ヒロミさんが素晴らしい技をテレビで披露しているように、DIYが日本でも人気を呼んでいる。しかしフランスではずっと前から、新品を高い値段で購入するより、広くて古い家を好む人が多かったようだ。

2007年に刊行した吉村葉子さんのベストセラー『お金がなくても平気なフランス人、お金があっても不安な日本人』から寄りすぐりのエッセイを紹介していくシリーズ、今回はケチ…いやいや倹約家で、それでも居住空間にこだわりをもつフランス人がどのようにして安く快適な家を作るのかについて書かれた一編をご紹介しよう。

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古い館と荒れ放題の庭

二人して航空会社に勤務しているジュリーとアントワーヌが、郊外にシャトーのような一戸建てを購入した。最初はパリ市内でアパートを探していたのだが、日に日にあばれん坊になっていく7歳と5歳の息子を思い、遊ぶ場所に困らない郊外の一軒家に決めた。1000平米ちかい敷地に、建てられてからゆうに100年はたっている古い館、それを取り巻くように立派だけど荒れ放題の庭がある。なん年もかけて物件を探し、最後までどちらにしようかと悩んだのが、パリ五区の100平米のアパートと購入した1000平米の一軒家で、両方ともほぼ同じ価格だったのである。

ジュリーは男の子たちの教育を考え、いい学校が集中している五区に気持ちがなびいた。ところが夫のアントワーヌはこういいはった。子供たちは自分に似て勉強が嫌いなのだから、教育的な環境がいい五区に住んだとしても、妻のジュリーが満足するような学校に進学するはずがないと。そして最後にアントワーヌは誓った。古い一軒家と庭は、自分の力でリフォームすると。彼の頭の中には、以前訪れたドービニーという画家のアトリエ兼自宅のイメージが厳然と存在していたのである。

いい学校が集まっていると言われる地区のアパートより、のびのびとできる郊外にある広い敷地の古い屋敷を選んだ(写真の家はイメージです) Photo by iStock