全米を感動させたイチロー選手のスピーチ

そんなストーリー使いが素晴らしかったのが、イチロー選手の引退スピーチです。
アメリカで絶賛された、みごとなものでした。原文は英語ですが、和訳でご紹介します。

東京で引退した夜、私は不十分な気持ちでした。シアトルの素晴らしいファンのみなさんがそこにはいなかったからです。
今夜は、何年にもわたって温かく支えてくれたみなさんへの感謝を伝えたいと思います

そう切り出してイチロー選手は過去を振り返ります。

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2001年に、私がシアトルにやって来た時には、どのポジションでも日本から来た選手はいませんでした。
みなさんが迎えたのは、 27 歳の小柄で痩せた、無名の選手でした。
受け入れてもらえなくても当然だったのに、みなさんは両手を広げて歓迎してくれました。私が一度去って、また戻った時も止むことなく歓迎してくれたのです

自分のキャリアを振り返って、自分にプライドを覚えるところがあるとすれば、2001年の初日から2019年の最後の日まで、毎日の挑戦を乗り越えて、毎日変わらぬ情熱を持ち続けられたことです

シアトル・マリナーズのみなさん、愛するようになったこの街で、愛する野球をプレーできる機会を与えてくださったことを永遠に感謝します。
そして、尽きることなくサポートしてくれた僕の家族にも。
では、プレーボール!

このスピーチに万雷の拍手がわき起こりました。
 
もちろんどんな野球選手でも、「これまで私が活躍できたのは、ファンのみなさんのおかげです」くらいは言うでしょう。
 
しかしイチローが語ったのは、徹底的にファンの「聞き手視点」なのです。